中期計画

グループの最上位概念である「パーパス」のもと、バンダイナムコグループが目指す姿は、世界中のIPファン、あらゆるパートナー、グループ社員、そして社会とつながる姿です。既存のファンとはより「深く」つながり、新規のファンとはより「広く」つながります。そして、既存ファンと新規ファン、ファンから生まれたコミュニティ同士が「複雑に」つながり合うというファンとのつながりを目指します。様々なファンとバンダイナムコが、そしてファン同士がつながるにあたり、最も重視することは、どのようにつながるかというつながり方の質です。2022年4月にスタートした3カ年の中期計画(2022年4月~2025年3月)においても、あらゆるステークホルダーと深く、広く、複雑につながること、つながり方の質を重視した様々な戦略や取り組みを推進します。

中期ビジョン

connectfans

「パーパス」のもとバンダイナムコグループが目指す姿に向け、今中期計画では、世界中のIPファン、あらゆるパートナー、グループ社員、そして社会と常に向き合い、深く、広く、複雑につながる存在を目指します。

重点戦略と投資計画

1.IP軸戦略

バンダイナムコグループでは、今中期計画においてもグループの強みであるIP軸戦略を核とします。世界中のファンとより深く、広く、複雑につながるための新たな取り組み、IP軸戦略の進化、世界の各地域でALL BANDAI NAMCOで一体となり事業構築に取り組むことで持続的な成長を目指します。

①IP×Fan(IPでファンと繋がる) ファンとつながるための新しい仕組み

バンダイナムコはIPを軸に、ファンに寄り添う新しい仕組みとしてIPごとのメタバースを開発します。この「IPメタバース」は、仮想空間の中で、IPを軸に幅広いエンターテインメントを楽しむことができるほか、フィジカルな商品や場とデジタルが融合するバンダイナムコならではの仕組みを想定しており、ファンやパートナーがつながるための場を提供するオープンなものを目指しています。「IPメタバース」によって、バンダイナムコとファンが、さらにはファン同士がコミュニティやコンテンツを通じて長期にわたって深く、広く、複雑につながる関係を構築し、つながり方の質を追求します。これにより中長期的にIP価値の最大化に取り組みます。開発に向けては、ファンに様々な情報を提供するためのIP情報の集約、フィジカルとデジタルを融合したバンダイナムコならではのコンテンツ開発、ファンやパートナーがつながるための場となるコミュニティの構築を推進します。

②IP×Value(IPの価値を磨く) IP軸戦略の進化

幅広い商品・サービスの出口、フィジカルとデジタルの双方で連携できる強みを生かし、IPファンやIPそのものにとって最適なIP軸戦略とは何かの再定義を行い、IP軸戦略の進化を目指します。

  • IP創出強化
    IPプロデュースユニット内の再編を行い、映像、音楽・ライブイベントに関するノウハウを集約し統合することで、IP創出とプロデュース力をさらに強化します。また、IP創出のための戦略投資も行い、商品・サービス発の創出に加え、グループ横断の取り組みによる創出、バンダイナムココンテンツファンドによる創出、外部パートナーとの取り組みによる創出などあらゆる方向からIP創出に取り組み、グループの事業を通じて育成をはかります。
  • 事業軸から、IP軸でIP価値最大化に取り組む
    商品・サービスの幅広い出口でIPを活用し事業の最大化を目指す事業軸の考えに加え、IP自体の価値最大化を目的にIP軸に軸足を置いたIPプラットフォーマー思考で取り組みを行います。ゲームやメタバースなどのデジタル、施設などのフィジカルの両方でつながることができる強みを生かし、様々な商品・サービスでバンダイナムコとファンが、ファン同士がつながるIPプラットフォームを構築します。
    IP価値の最大化を目指し、より長期的な視点でIP価値を最大化することを優先し、あらゆるパートナーとオープンに協業します。また、事業の最大化は勿論のこと、長期的なIP価値の最大化に向けIPの可能性を拡大するための取り組みを推進します。 地域や複数事業を横断して展開するIPにおいては、地域や事業を横断したグループ横断プロジェクトによりIP価値の最大化を目指します。IPプロデューサーが司令塔となり、IP価値最大化に主眼を置き、長期的かつ全体最適の視点でIP展開をはかります。プロジェクトの対象となるIPについては順次拡大し、グループ一体となり取り組みを行います。

③IP×World(IPで世界とつながる)ALL BANDAI NAMCOでの事業構築

世界の各地域においてALL BANDAI NAMCOで一体となり戦略を推進するため、組織再編や各事業の拠点集約などを行いました。このALL BANDAI NAMCO体制のもと、各地域において事業の構築に取り組みます。

  • 新ロゴマーク導入に伴い、全てのグループ商品・サービスに新ロゴマークを表示することでALL BANDAI NAMCOブランド訴求をはかります。
  • IPを軸とした商品・サービスの開発やマーケティング面においてこれまで以上に強力に事業間連動をはかります。また、ワールドワイド展開をはかるIPについては事業・地域横断プロジェクトで取り組みます。さらには、各地域発のIP創出育成に注力します。組織面においては、今後も戦略や市場環境を踏まえ、最適な体制の構築を臨機応変に追求します。 これら取り組みにより、今中期計画最終年度にはグループの海外売上高比率 35%を目指します。

④IP軸戦略の進化に向けた投資計画

今中期計画の3年間でIP軸戦略の進化に向けた戦略投資として合計400億円の投資を行います。

  • IP価値最大化に向けた戦略投資 250億円
    →新規IP創出、グループ横断IPプロジェクト、オープンイノベーションなど
  • 「IPメタバース」開発に向けた投資 150億円
    →データ基盤の構築(データユニバース)、コンテンツの開発など

合計400億円

2.人材戦略 多様な人材の育成

今中期計画の戦略推進にあたっては、IP軸戦略をグローバルで推進するマーケッター人材、IP創出や商品・サービス開発に関わるクリエイター・エンジニア人材、経営戦略や事業戦略の推進の基盤となる管理系人材など様々な分野における多様な人材の育成をはかります。これによりバランスがとれた人材の構成を目指します。
バンダイナムコグループは、「パーパス」のもと、様々な才能、個性、価値観を持つ企業や社員が生き生きと活躍することができる「同魂異才」の集団でありたいと考えます。新卒・キャリア、性別、国籍にこだわらず人材の確保・登用を行うとともに、多様な人材が活躍することができ、心身ともに健康に働くことができる制度や環境整備にさらに注力します。今中期計画においても、社員のチャレンジを支援する取り組み、グローバルでIP軸戦略を推進する人材を育成する取り組みなどを推進するとともに、多様な働き方や新たな働き方への対応を推進します。

3.サステナビリティ 笑顔を未来へつなぐ

バンダイナムコグループは、「パーパス」のもと、ファンとともに持続可能な社会の実現に向けたサステナブルな活動を推進します。

①バンダイナムコグループのサステナビリティ方針

バンダイナムコグループは、IP軸戦略のもと、ファンとともに、バンダイナムコグループが向き合うべき社会的課題に対応したサステナブル活動を推進します。

②推進体制

サステナブル活動の推進は、持続可能な社会の実現に向けた責任を果たすため、経営戦略上の重要な取り組みであるという認識のもと、従来のグループCSR委員会を、今中期計画より取締役会に直結する「グループサステナビリティ委員会」に再編します。同委員会はバンダイナムコホールディングス代表取締役社長が議長を務め、サステナビリティ方針のもと、社会的な課題に対し、スピード感を持って様々な活動を推進します。

③マテリアリティの特定(重要項目の再選定)

バンダイナムコグループは、2010年にグループCSR重要項目を策定し、中期計画ごとに妥当性を検証し、運用しています。今中期計画では、グループが向き合う課題と社会における新たなテーマを軸に、マテリアリティの特定(重要項目の再選定)を行いました。マテリアリティ特定にあたっては課題項目のリストアップ、社外ステークホルダーの視点と経営の視点からの重要度の分析、社外有識者との討議のステップを経て行いました。今後はマテリアリティに沿った具体的なアクションプランを進めていきます。

【特定したマテリアリティ】

  • 地球環境との共生
  • 適正な商品・サービスの提供
  • 知的財産の適切な活用と保護
  • 尊重しあえる職場環境の実現
  • コミュニティとの共生

④脱炭素化に向けた中長期目標

バンダイナムコグループでは、社会が直面している自然環境の問題に対応するべく、エネルギー由来の二酸化炭素排出量削減による脱炭素化に向けた2050年までの数値目標とステップを設定しています。今中期計画においては、省エネルギー施策のさらなる推進や、再生可能エネルギーの導入など各事業の特性に合わせた取り組みを推進します。

目標2050年まで 自社拠点(社屋、自社工場、直営アミューズメント施設等)におけるエネルギー由来の二酸化炭素排出量 実質ゼロ
中間目標2030年まで 自社拠点におけるエネルギー由来の二酸化炭素排出量 2019年度比35%削減 (2013年度比50%)
主な取り組み 省エネルギー施策のさらなる推進、再生可能エネルギーの導入等