バンダイナムコグループ

Employee Interview

グループ社員インタビュー

「実物大の動くガンダム」と「ガンプラの海外展開」
機動戦士ガンダムを軸にそれぞれの仕事の「挑戦」に迫る

オリジナル作品を中心としたアニメーションの企画・製作などを行うサンライズと、ハイターゲット向け玩具やプラモデルなどの企画・開発・製造・販売を手がけるBANDAI SPIRITS。機動戦士ガンダムに携わる2社の社員へ、具体的な仕事内容やグループの魅力についてインタビューしました。

志田 香織
Profile

2001年 サンライズに入社。入社後は制作進行としてアニメーション制作の進行管理業務を担当。2006年にガンダム事業部(現第1事業部)に異動となり、ガンダムシリーズを中心に番組販売・配信・映像パッケージ・玩具等の商品化・出版化等におけるライセンス業務およびプロモーション業務を担当。2015年1月~2016年4月に産休・育休を取得。現在は、第1事業部のIP担当プロデューサーとして、舞台「機動戦士ガンダム 00」、ガンダムビルドリアルなど、様々なプロジェクトを担当。

志田 香織
Shida Kaori
株式会社サンライズ
IP事業本部
IP担当プロデューサー

Interview

ー 入社しようと思ったきっかけについて

志田 大学院で教育心理学を学んでいたのですが、80年代のアニメ黄金期を経験した世代として、「友情・努力・勝利」や、思いやりの精神を子供に伝えるアニメを作りたいという気持ちが強くなり、サンライズに入社しました。

ー 入社後の経歴について

志田 入社後は社内の複数のスタジオにて、現場で作品制作に携わりました。関与した作品のひとつである「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」が、前作「機動戦士ガンダムSEED」に続いてヒットしたこともあり、ファンに向けた音楽イベントや朗読ライブを企画、主導する役割も担いました。制作の人間でありながらこうしたチャレンジをしていたことを当時の上司に面白がっていただき、企画営業への異動を勧められました。以降は、イベントや音楽フェスだけではなく、WEBポータルサイト「GUNDAM INFO」、You Tubeのガンダム公式チャンネル「ガンダムチャンネル」の開設などにも関わり、2009年には、実物大ガンダム立像のディレクションにも携わっています。また、映像プロデューサーとして、ガンプラを主役としたアニメ「ガンダムビルド」シリーズもスタートさせました。その意味では、ジャンルを問わない「立ち上げ屋」と言っても良いかもしれません(笑)。

動くガンダム
▲ 実物大ガンダム立像 (東京都立 潮風公園 2009年)
ガンダムビルドリアム
▲ ガンダムビルドリアル

ー 現在の業務について

志田 2020年12月から横浜の山下ふ頭で公開されている「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA(以下、GFY)」という施設、及びその中心となる「動くガンダム」のディレクションに関わっています。ほかにも、本広克行氏を総監督に迎えた実写映像作品「ガンダムビルドリアル」、先日制作が発表されたアニメ「劇場版 機動戦士ガンダムSEED」、舞台「機動戦士ガンダム00」のプロデュースが主な仕事ですね。

ー 専用の会社を設立して進めた一大プロジェクト「動くガンダム」について

志田 実物大ガンダム立像ができたのなら、今度は動かそう!を合言葉にプロジェクトが立ち上がりました。実際に、18mのガンダムを稼働させるには多くの企業や技術者の協力が必要になるだろうと、2014年に「ガンダムグローバルチャレンジ(以下、GGC)」という一般社団法人を設立しています。その中でガンダム好きの技術者から様々な意見を聞く「ガンダム有識者会議」を立ち上げ、オープンイノベーションを前提としたヒアリングを重ねていきました。実際に制作する流れとしては、設計に携わる「テクニカル」、制御や配線に携わる「システム」、デザインや資材調達に携わる「クリエイティブ」の3部門の分業制を採っています。専門的な部分には各パートで責任を持っていただきながら、意見の対立があった場合はグループのリーダーとサンライズ側で話し合う仕組みですね。ただ、みなさんは根本としてガンダムが大好きなので(笑)、「ガンダムのために」という意識は同じでした。

※一般社団法人ガンダム GLOBAL CHALLENGEとは
「機動戦士ガンダム」放送40周年を迎える2019年に18mの実物大ガンダムを動かすために設立された一般社団法人。世界中から最先端の技術と叡智を結集し、「動くガンダム」の基本設計及び実施設計を行い、最先端の技術の進歩に寄与するとともに、夢と技術を内外に発信することを目的としている。

ー ガンダムを動かす上でのコンセプトについて

志田 コンセプトの共有が、「動くガンダム」で一番難しかった部分です。技術の革新を求めるのか、エンタメとしての楽しさを追求するのか――。結果的に、ガンダムのイメージを損なわず、「動きで感動させること」を最優先に考えました。具体的には、シーンの再現性に囚われるよりもメカとして汎用性をもたせることを意識しています。例えば今回の「動くガンダム」は、ドックから一歩前に出て、膝を着きます。実物大ガンダム立像のときは見上げるだけだったので、頭部が近づいたり離れたりすることによりそのキャラクター性や表情をより伝えられればと考えました。
また、実物大ガンダム立像のときもそうですが、法的規制などのルールを遵守する必要があります。「動くガンダム」が、ロボットなのか、建築物なのか、はたまた遊戯物なのか。例えば、中に人が入ってガンダムを動かす場合は「遊戯物」となるので、安全基準のハードルが高くなります。そういった取り決めを一つ一つ確認して対応していきました。

動くガンダム
▲ GUNDAM FACTORY YOKOHAMA
動くガンダム
 

ー バンダイナムコグループの働き方について

志田 アニメ制作を志望していた入社当時とはまったく違うことをしている自覚はあります(笑)。ただ、それができるのも、バンダイナムコグループの懐の深さがあるからでしょうね。アニメを制作して終わり、ではなく、そのIPをどう成長させていくのかをプランニングし、TVや映像の枠を超えたプロジェクトにもチャレンジできる土壌がある。グループ全体として見ても、ゲーム制作会社あり、映像制作会社あり、イベント運営会社ありと、遊園地みたいなところかもしれません。エンターテインメントの名の下に、幅広いジャンルを抱えているのは利点だと思います。
というのも、就職してすぐ、自分に何が向いているかを把握している人はほとんどいないと思います。バンダイナムコグループにはその点で多くの可能性があると思います。

ー バンダイナムコグループでのキャリアプラン、福利厚生について

志田 ちょうど「動くガンダム」へ向けた話し合いを進めているときに、産休・育休を取得しました。当時、サンライズの営業職に女性は少なかったのですが、きちんと手続きを進めていただき、安心して休むことができました。また、復帰してからも、ベビーシッター代の一部補助※があり、それはものすごく活用しました。

※会社が導入している福利厚生サービスの一部となります。
 グループ各社により福利厚生が異なる場合があります。

復職してからの私個人の話をすれば、ガンダム担当の営業職としてのみならず、管理職として多数の部下を抱えることになりました。自身の中で、よりIPに携わる仕事をしたいという思いがあり、会社とも相談しものづくり一本に絞らせていただきました。IP担当プロデューサーという肩書もいただき、今は制作に集中できる環境にありますね。

ー バンダイナムコグループにエントリーを検討されている方へ

志田 芸術的な要素やアニメの知識だけではなく、「人と話すことが苦じゃない人」が求められていると思います。連絡手段はチャットかメールだけが良い、という人には向いていないかもしれません。ものづくりでは多くのクリエイターと向きあうので、そのクリエイターが口数の少ない方だったとしても、何を求めて、何をやろうとしているのか根気よく読み取る必要があります。時には、厳しい言葉を投げかけられることもありますが、どうしてそんな言葉が投げかけられたのか、探っていける力ですね。一方で、企画意図をきちんと伝え、理解して頂いた上で実行していくことも重要です。その前提として人との会話が楽しめたり、相手の気持ちを考えたりできることが、会社での、また社会人としての未来につながると思います。

志田 香織

石川 智章
Profile

2009年 バンダイ入社。入社後は社長室(現:経営企画部)へ配属。2011年にホビー事業部にてプラモデルの国内営業担当となる。2014年にBANDAI AMERICA Inc.へ出向し欧米エリアのマーケティング担当として、イベント・プロモーションの立案・実行、海外ライセンサーとの版権取得交渉などを行う。2015年10月に帰任。2018年BANDAI SPIRITSへ出向し現在は、アジアを含むプラモデルにおける海外マーケティングのマネージャーを担当。

石川 智章
Ishikawa Tomoaki
株式会社BANDAI SPIRITS
ホビーディビジョン
グローバルビジネス部
グローバルマーケティングチーム
マネージャー

ー 入社しようと思ったきっかけについて

石川 大学では教育学部に在籍し、哲学を勉強していました。そのまま大学院に進んで勉強することや、教員・公務員になることも考えていたのですが、民間企業に就職するのであれば、エンターテインメントに関わる仕事をしたいと思っていました。というのも、高校時代には演劇部に所属していて、かつ音楽もやっていたので、カルチャーを生み出すことにも興味がありました。そうした動機から、エンターテインメントの総合商社と言えるバンダイを志望しました。

ー 入社後の経歴について

石川 入社後は、経営企画部に配属となり、グループ全体の戦略を考えるのが職務でした。それからガンプラを扱う部署である「ホビーディビジョン」の営業職に異動しました。そこで3年ほど国内でガンプラの営業の仕事に従事したのち、BANDAI AMERICA Inc.へ出向して経営企画に携わっています。国内に戻ってからは、再びホビーディビジョンで営業の仕事を担い、現在の立場になりました。

ー 現在の業務について

石川 ホビーディビジョンの、「グローバルビジネス部グローバルマーケティングチーム」に在籍しています。グローバルビジネスというユニットは、ガンプラのマーケティング全般を担っており、その中のグローバルマーケティングチームは、主に海外市場での販売戦略を考えるのが仕事です。ガンプラの海外戦略の流れについて説明すると、2003年に、韓国に世界初のガンプラ総合施設「THE GUNDAM BASE.Side1」がオープンしました。その後、2011年前後からアジア戦略を強化し、WEBポータルサイト「GUNDAM.INFO」の海外版をリリースしています。ガンプラの商品情報を国内と同じタイミングで伝える傍ら、「THE GUNDAM BASE」の海外展開も加速しており、現在は世界4エリアで15店舗※を運営しています。
※2021年7月取材時点の情報

ー 中国・アジア圏での販売戦略について

石川 中国には大型の量販店があまり存在しないこともあり、近年は爆発的に普及しているEC(電子商取引)に力を入れています。バンダイやBANDAI SPIRITSの製品を取り扱うオフィシャルECサイトのプロモーションを行いつつ、イベント日――例えば中国は、毎年11月11日がW11=独身の日と呼ばれていて、ECサイトで大規模なセールが行われます。その際に集中的にプロモーションを仕掛けることもありました。
新たな海外展開としては、実物大フリーダムガンダム立像が設置された「三井ショッピングパーク ららぽーと上海金橋」内に、中国2店舗目となる「THE GUNDAM BASE ららぽーと上海金橋店」を開設しました。直営店を展開することで、 ガンダムを知らない方々にも“何か知らないけど、かっこいい、クールなロボットと、クールな商品”という軸から興味を持ってもらうことが狙いです。加えて、我々が重視しているのがガンプラ作りの“体験”です。THE GUNDAM BASEには、必ず組み立て体験スペースを設置しており、初めてガンプラを触る人にもその面白さが伝わるように誘導していますね。

上海立像
▲ THE GUNDAM BASE ららぽーと上海金橋店 「実物大フリーダムガンダム立像」
台湾
▲ イベントでのガンプラ作り体験の様子

ー 北米でのガンプラ販売戦略について

石川 日本を除き、世界で1番ガンプラが売れているのは中国、2番目が北米です。ただ、北米では、プラモデルを売るにも数々のハードルがあったため、3つのフェーズに分けて段階的に販売戦略を考えていきました。まずは、コアファンに向けた定期的なイベントの開催。続いて、若年層に向けた、ゲーム流通会社の流通網やSNSを使ったプロモーション。現在は最後のフェーズに移行しており、ウォルマートのような大手量販店での陳列・販売ですね。
 もちろん中国同様、ECにも力を入れていて、2020年にはGUNDAM ONLINE EXPOを開催しました。商品紹介だけでなく、ガンプラコンテストや声優さんのトークショーなど、ガンダム全体に興味を持っていただく施策でした。今後は、自社流通や「THE GUNDAM BASE」のような直営店の運営にも乗り出したいですね。

米国ガンダムオンラインEXPO

ー バンダイナムコグループの働き方について

石川 他の企業に務めている同年代の友人・知人と話していて思うのは、自分で考えて行動できる幅がとにかく広い会社ですね。普通の企業であれば、上長をはじめいろんな人に決裁をもらう必要があって、許可を取る過程で自分のやりたいことから離れていく――という流れもあるかと思います。バンダイナムコグループも、何でもかんでもやらせてもらえるわけではないですが、入社したてであっても、面白そうで理に適っていれば全面的に任せてもらえるような組織風土があると思います。
例えば、経営企画部にいた入社1年目のとき、社内で行われた新規事業応募制度のプロモーションに関与していました。全社員に応募を呼びかけるためのポスター制作や、「iモード」を開発した当時の社外取締役に話を聞くインタビューなど、自分のアイディアが採用されました。社歴に関係なく、おもしろい案が採用されやすいことがバンダイナムコグループの一番の魅力だと思います。

ー バンダイナムコグループでのキャリアプラン、福利厚生について

石川 私は英語がまったくできなかったのですが、入社6年目にBANDAI AMERICA Inc.で勤務しています。それはグループの「海外トレーニー制度」を活用したものでした。J-1ビザと呼ばれる、最大18ヶ月滞在できる交換交流プログラム用のビザを使い、研修生という形でBANDAI AMERICA Inc.に出向しています。一般的には、こういう制度を利用するにはTOEIC点数などの基準があると思いますが、そういう縛りなく利用できました。もちろん、現地ではきちんと勉強したのですが、そういう機会を与えてくれなければ、海外事業にはタッチしていなかったでしょうね。

ー バンダイナムコグループにエントリーを検討されている方々へ

石川 とにかくバンダイナムコグループという会社には、同じ組織とは思えないほど、様々な職種があり、様々な働き方があります。一方で、自分が楽しむだけでなく、人に喜んでもらうために、どういったエンタメを提供できるのかを常に考えている集団でもあると思います。その中で、新しいことにチャレンジできる土壌がバンダイナムコグループにはありますし、失敗しても、それが実績になっていくようなところも特色かもしれません。
 私が担当しているガンプラの海外事業も、まだまだ道半ばです。シンプルに言うと、これからも伸び放題です(笑)。それくらい、海外での販売戦略に関しては正解がありません。何でもトライしてみるしかない。それが仕事上の醍醐味ですね。事実、アフリカや欧州にはまだ手を付けられていないので、そうした開拓にロマンが感じられる人がいたら、ぜひ一緒に働きましょう。

石川 智章

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取材日:2021年7月
※掲載内容は、取材日時点の情報となります

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