バンダイナムコグループ

Employee Interview

グループ社員インタビュー
~Special Interview~

仮面ライダー50周年
「仮面ライダーリバイス」の変身ベルトはこうして作られた!

2021年9月から放送がスタートした「仮面ライダーリバイス」は、悪魔と契約した主人公が「仮面ライダーリバイ」と「仮面ライダーバイス」という‟1人で2人“の仮面ライダーとなって活躍する作品です。その変身を促す変身ベルト 「リバイスドライバー」と「バイスタンプ」は、どのように生まれたのか。企画に深く携わったバンダイ、プレックス(バンダイナムコグループ内の2社)の企画担当に、これまでの経歴を交えながら「仮面ライダーリバイス」でのアイテム開発について話を聞きました。さらに、スペシャルゲストとして東映の望月プロデューサーも登場。グループ外企業を巻き込みながらプロジェクトを進めていくバンダイナムコグループの特徴についてインタビューしました。

井上 光隆
Profile

2008年バンダイ中途入社。入社後は、アパレル事業部に所属し、子ども向け衣服の企画を担当。2015年にボーイズトイ事業部 (現ブランドデザイン部)へ異動し、仮面ライダーシリーズの玩具企画を担当。現在は、同チームのマネージャーを務める。

井上 光隆
Inoue Mitsutaka
株式会社バンダイ
ブランドデザイン部 企画2チーム
マネージャー
鈴木 崇
Profile

2013年プレックス入社。入社後、プランニング・デザイン部スーパーヒーローチームに配属となり、スーパー戦隊シリーズのデザインを主に担当。2015年 BANDAI AMERICA INCORPORATEDへ出向し、欧米向けパワーレンジャーの企画デザインを担当。2017年にプレックスへ帰任。2020年よりバンダイへ出向し、ブランドデザイン部にて、仮面ライダーシリーズの企画・開発を担当。

鈴木 崇
Suzuki Takashi
株式会社バンダイ
ブランドデザイン部 企画2チーム
山下 貴斗
Profile

2015年プレックス入社。入社後、プランニング・デザイン部スーパーヒーローチームに配属となり、「仮面ライダービルド」のヒーローデザインを24歳で手掛ける。現在、チーフデザイナーとして仮面ライダーシリーズのヒーローや変身アイテムなどデザイン全般を担当。

山下 貴斗
Yamashita Takato
株式会社プレックス
プランニング・デザイン部
スーパーヒーローチーム
望月 卓
スペシャルゲストProfile

2009年東映株式会社に入社。入社後はテレビ企画制作部に配属。仮面ライダーシリーズ、スーパー戦隊シリーズなどを担当。その後、刑事ドラマや時代劇映画にも携わり、現在は「仮面ライダーリバイス」のチーフプロデューサーを担当。

望月 卓
Mochizuki Taku
東映株式会社
テレビ企画制作部 プロデューサー
仮面ライダーリバイス
▲「仮面ライダーリバイス」
2021年9月5日(日)朝9:00よりテレビ朝日系にて放送

©2021 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

Interview

ー 入社しようと思ったきっかけについて

井上 私は中途採用で入社しました。新卒で入社した繊維商社でキャラクターアパレルに携わる機会があったのですが、より本格的にキャラクターアパレルの企画開発に携わりたいと思い、バンダイに入社しました。

鈴木 現在、バンダイへ出向していますが、新卒で入社したのはグループ会社のプレックスです。大学ではデザイン系を専攻していましたし、もともと、仮面ライダーシリーズに興味があったこともあり、キャラクターやおもちゃのデザインを企画立案するプレックスへ入社しました。

山下 大学ではプロダクトデザインの勉強をしていて、将来はインダストリアル系の家電や車のデザイナーになることが目標でした。一方で、昔からアニメのキャラクターやメカのデザインをやりたいという夢もあったので、プロダクトデザインとキャラクターデザイン、どちらも扱うことのできるプレックスに入社しました。

ー 入社後の経歴について

井上 アパレル事業部では7年間、スーパー戦隊シリーズや仮面ライダーシリーズの子ども向け衣料の企画などを担当しました。大手アパレルブランドとのコラボレーション企画など、キャラクターパワーとブランドの強みを融合するような仕事に携われたことは、後の仕事にも活きる良い経験になりました。その後、各事業部を横断した仮面ライダーの全社会議へ定期的に参加をする中で、様々な部署を巻き込んでプロジェクトを大きくしていくための根幹となるヒーロー玩具の担当をしたいと思うようになりました。バンダイには年に一度、異動希望を提出できるキャリアプランシートという制度があるので、ボーイズトイ事業部(現ブランドデザイン部)に希望を出し、2015年に仮面ライダーの玩具企画を担当するチームに異動をしました。

鈴木 プレックスに入社後、スーパー戦隊チームに配属され、そこでメカやキャラクターのデザインを担当しました。その後、当時のグループの出向制度※を利用して、3~4年目はBANDAI AMERICA INCORPORATEDに出向しました。出向先のアメリカでは、主にパワーレンジャーの商品を担当したほか、オリジナルタイトルの玩具も担当していました。帰国後はプレックスのスーパー戦隊チームに帰任したのち、2020年よりバンダイへ出向し、今年で2年目となります。
※異動・出向制度については、グループ各社により異なる場合がございます。

山下 私はプレックス入社後から仮面ライダーチームに配属され、そのまま7年目になります。「仮面ライダーゴースト」は途中から参加となりましたが、「仮面ライダーエグゼイド」以降は立ち上げから参加し、「仮面ライダービルド」以降はメインデザインを担当しています。

ー 現在の担当業務について

井上 仮面ライダーシリーズの玩具企画チームをマネジメントしています。チームの役割は、仮面ライダー玩具全般について東映様とプレックスと協議の上、どの様な商品を、どのタイミングで、どの様な売り方で、どれくらいの価格でお客様に届けるかを形にしていくことです。また、全社視点でも仮面ライダー企画を考えられる様にメディア部も兼任させてもらっています。

鈴木 現在、井上さんのチームに所属し、2021年9月から放送が開始された「仮面ライダーリバイス」の変身ベルトやアイテム企画においてメイン担当として携わっています。

山下 私は「仮面ライダーリバイス」のデザイン全般を担当しています。「仮面ライダーゼロワン」からはチーフデザイナーとして、5~6人のデザインチームをまとめています。

望月 「仮面ライダーリバイス」の番組チーフプロデューサーを務める望月です。私は東映株式会社の社員として映像制作におけるプロジェクト全体を管理する役割を担っていますが、変身ベルトやアイテムの開発を手掛けるバンダイさんやプレックスさんと向き合いながら、それをどう物語の世界観の中に落とし込んでいくかを脚本家さんと一緒に練り上げていくのが主な仕事になります。

ー 「仮面ライダーリバイス」、その成り立ちの経緯について

井上 「仮面ライダーリバイス」の企画が立ち上がったのが、昨年の秋ごろです。まず東映さんのチーフプロデューサーから全体の構想について伺い、それに沿ってバンダイやプレックスからもアイデアを出す流れでした。

鈴木 ちょうど、仮面ライダーシリーズが放送50周年というタイミングではあるのですが、近作の「仮面ライダージオウ」がレジェンドライダーを扱う作品だったので、周年というのはあまり意識せずに企画がスタートしましたね。

望月 どんな仮面ライダーにしていくかを脚本家さんと人間の心に潜む悪、表と裏、みたいものを描いていきたいよねと話す中で、“1人で2人”というキーワードや、“体内から何かを引き出す”、というイメージが生まれました。それをベルトに落とし込むための膨大なプランを、バンダイさんとプレックスさんに提案いただき、ディスカッションしていきました。

井上 それこそ、最初はA案からZ案くらいまで30案近くありましたね。

望月 最初はあらゆる生物種の遺伝子が体内に蓄積されているという設定で、絶滅生物の力がベルトのアクションによって引き出される仕組みでした。その後、バンダイとプレックスさんからの提案もあって主役のモチーフはティラノサウルスになり、フォームチェンジは恐竜を始めとした絶滅生物に限らずに生物全般を採用することにしました。

鈴木 絶滅種を私があまり知らなかったこともあり(笑)、よりポピュラーで子供にも人気のある恐竜のみのモチーフ構成を提案しましたが特徴の差別化のため生物全般となりました。

望月 ただ生物種に加えてもう一押し欲しいということだったのでフォームチェンジにはレジェンドライダーをモチーフにすることになりました。

井上 キャストで登場する「ジョージ・狩崎」は仮面ライダーの熱狂的ファンという設定ですが、レジェンドライダーを成立させるための大発明でしたね。単一作品として完成している世界観の上に、違和感なくレジェンドを乗せることができました。

山下 レジェンドの要素は大人に刺さると思うのですが、その扱い方は「仮面ライダージオウ」で完成したと思っています。今回の変身ベルトでは、大人と子供で違う楽しみができるように考えました。あくまで子供たちにとっては生物モチーフのヒーローデザインで、レジェンドライダーモチーフは大人にだけ伝わればいいというバランスを狙っています。

望月 プレックスさんが手掛けた、生物種とレジェンドライダーの2つを共存させた絶妙なバランスのデザインは、素晴らしいと思いました。

ー 「変身ベルト DXリバイスドライバー」と「バイスタンプ」の開発について

山下 “1人で2人”という変身コンセプトを望月さんからいただいていたので、それを遊びに反映させたのが今回の変身ベルトですね。

井上 スタンプを押して自分の複製が生まれるというアイデアがあり、それを望月さんが“契約”と名付けてからより意味合いが増していきました。悪魔の要素が入ったのもそのあたりでしたね。

望月 バイスタンプを使った押印アクションギミックを成立させるために、砂鉄を使うというのは妙案でしたね。

山下 スタンプを表現する手段はたくさんあるのですが、楽しさと実現性のバランスを考えた上で、一番良いと考えたものが砂鉄を用いたギミックでした。

鈴木 古(いにしえ)の技術ではありますが、ベルトを触ったときの“手遊び感”を大切にできればと思いました。対象年齢的にも、スタンプ側に塗料などを使わずに済むので、スタンプを壁にペタペタ押しても汚れないという利点があります(笑)。

望月 発想としてはお絵かきボードに近いですね。何回描いても、1つのアクションですっと消すことができる。あと、今回こだわったのは、ベルトの色ですね。

鈴木 企画当初から、トレンドカラーを取り入れる案は出していました。そのなかで、山下からコーラルピンク・ターコイズ・パープルで構成された斬新なカラーリングのベルト&ヒーローデザインが提案されました。

山下 ベルトもヒーローも、子供たちの目を引く明るさとサブカル的な大人っぽさを狙ったカラーリングでデザイン提案しました。アイテムデザインは海外の雑貨やスマート家電なども参考にしています。

変身ベルト DXリバイスドライバー
▲「変身ベルト DXリバイスドライバー」
仮面ライダーリバイと仮面ライダーバイスになりきり変身遊びができる
▲「DXバイスタンプシリーズ」
最強生物と仮面ライダーの意匠を併せ持つスタンプ型の変身キーアイテム

©2021 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

ー 今後の仮面ライダー変身ベルトについて

望月 今はまだ技術的に難しいですが、将来的には、ベルトを起動させれば実際にアーマーが展開するような、リアルな“変身”ができるようにしたいですね。

井上 実物大のガンダムも動きましたし、いつか仮面ライダーに変身できる日が来ると思います。

ー バンダイナムコグループでの働き方、キャリアプランについて

井上 前職からバンダイ アパレル事業部へ転職したときよりも、アパレル事業部からボーイズトイ事業部(現ブランドデザイン部)に異動したときの方が“転職”だったように思います。IPの知識もありましたし、社外との折衝もそれなりに経験してきたのですが、ブランドデザイン部での業務は、フローや人との関わり合い方がまったく異なるものでした。IPを軸に様々な分野の仕事に携わることができるのも、バンダイナムコグループならではかもしれません。

鈴木 入社したプレックスは少数精鋭の会社ということもあり、BANDAI AMERICA INCORPORATEとバンダイへの出向によりバンダイナムコグループ全体の規模感には驚きましたし、1つ1つのアイテムに対して多くのスタッフが関わっていることを学びました。
さらに、グループ同士の繋がりが強いことも実感しました。

山下 私たちの仕事は、お客様に面白いと思ってもらえるものを考えることだと思っています。プレックスは、デザインを任せられている立場だからこそ、純粋に「かっこいい」「楽しい」を最優先に考え、ユーザー第一でアイデアを出す事を心がけています。それぞれの立場で最善のアイデアを持ち寄って、面白いものを創る、ということができていると感じます。もうひとつ、バンダイナムコグループの特徴としては、出向や異動がなくとも、グループ合同研修を通じて仲間がきることですね。プライベートでも仲良くすることもありますし、思いもよらぬところから企画が立ち上がったりもします。そういう意味では、すごくフランクに新しい仕事を始めたり参加したりできるメリットはありますね。

ー バンダイナムコグループへのエントリーを検討されている方へ

井上 好奇心旺盛で、やりたいことを貫ける人を求めています。ただ、やりたいことが強くありすぎて、誰の言うことも聞かないという態度では企画は通りません。柔軟に状況や環境を考えつつ、うまくコミュニケーションが取れる人が向いているのではないでしょうか。

鈴木 元気な人、活力がある人が求められていると思います。加えて、なにかひとつ、どんなことでも構わないので、秀でた知識を持っていると、いつか役に立つときがくるかもしれません。

望月 私はバンダイナムコグループではなく、東映の社員ですが、同じエンターテインメント業界でもありますし、例えば仮面ライダーに携わりたい気持ちがあるのであれば、バンダイさんやプレックスさんに加えて、東映も是非検討してみてください!役割は異なりますが、一緒に作品を創り上げていくことができると思います。

山下 プレックスはデザイン職なので、伝えたいという欲求が明確にある方には本当に楽しい職場だと思います。自分が良いと思うもの、面白いと思うものを他人と共有したい気持ちがあって、それを言葉や形にできる人を私たちもお待ちしております。特に、これまでの特撮にないものを仕事に持ち込む感覚は強みになるといます。

井上 そうですね。過去に縛られず別の角度から仮面ライダーに未来を持ち込んでくれる人が求められているかもしれません。

山下 デザイナーは、誰も思いつかなかったものを形にして、驚きを生み出すのが重要な役割です。そうした仕事に興味のある人がチームに参加していただけると嬉しいですね。

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取材日:2021年9月
※掲載内容は、取材日時点の情報となります。
撮影時のみマスクを外しております。

©2021 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

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