キーパーソンインタビュー

バンダイのすべてのタッチポイントを使い「事業部連動」を展開しボーイズトイの盛り上げをはかります。

(株)バンダイ 取締役 トイ事業政策担当 佐藤 明宏

(株)バンダイ
取締役 トイ事業政策担当 佐藤 明宏

1988年4月
バンダイ入社
玩具の営業部門、版権の関連部門、男児玩具部門などを経て、
2009年4月
取締役就任

仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズなどのボーイズトイはバンダイナムコグループのトイホビー事業における中核ビジネスの1つです。今回はボーイズトイの戦略について話を聞きました。

仮面ライダーシリーズが好調な理由を教えてください。

佐藤:何より作品自体が面白いことに加え、“平成ライダー”シリーズ10年の経験の積み重ねにより、商品ラインナップの組み方が熟成されてきたことも大きな要因でしょう。その商品戦略に、当社が展開するタッチポイントのすべてを使って商品価値を繋げていく「事業部連動」があります。「仮面ライダーオーズ/OOO」の変身ベルトは、「オーメダル」を使って変身アクションを行うのですが、この「オーメダル」は、カプセル自販機や玩具菓子などでも商品化しており、大人気の「データカードダス 仮面ライダーバトル ガンバライド」でも遊ぶことができます。つまり、トイ以外の事業部が連動することで、親や子供の“生活導線”にある商品が、変身ベルトと連動するという仕組みになっているのです。こうしたさまざまな施策が功を奏して、現在のブームが演出できたのではないかと分析しています。

変身ベルト

© 2010 石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映

2月よりスーパー戦隊シリーズの新番組がスタートしましたがいかがですか?

佐藤:「海賊戦隊ゴーカイジャー」は、シリーズ35作品目となる記念すべき作品で、ストーリーも歴代のスーパー戦隊のヒーローに変身して戦うことができる魅力あふれる設定で、幅広い層に受け入れられています。商品の1号ロボット「海賊合体DXゴーカイオー」や、変身アイテム「変身携帯モバイレーツ」の販売もおかげ様で大変好調です。商品展開においては、なりきり遊びを拡張する「レンジャーキー」をキーアイテムとして、玩具菓子、カプセル玩具、アパレルなどさまざまなカテゴリーの商品を展開し、番組を盛り上げていきます。番組を制作されている東映さんと強力にタッグを組み、作品内容、マーケティング展開、商品構成、メディアミックスなど、かなり練り込んだ展開を行っていることが効果を発揮しているのだと考えています。

レンジャーキー 変身携帯モバイレーツ 海賊合体DXゴーカイオー

レンジャーキー 変身携帯モバイレーツ 海賊合体DXゴーカイオー
© 2011 石森プロ・テレビ朝日・東映AG・東映

小学生男児向けの展開について教えてください。

佐藤:2010年2月に「ハイパーヨーヨー」を復活させ、1年間で50万人のユーザーを獲得できたととらえています。今期の戦略は店頭での実演やイベントによる認知促進が中心でしたが、今後はメディア展開をさらに強化するなどチャレンジを継続します。

未就学児向け乗り物玩具「VooV(ブーブ)」も好調ですね。

佐藤:2010年3月の発売以来、120万個を超えるヒットを記録しています。これは車や電車を開いてひっくり返すと、別の車や電車に“変身”するというもので、これまで手薄だった乗り物玩具市場のシェアを獲得することができました。新たなターゲット・カテゴリーの拡大は必須でしたので、息の長いシリーズとなるように、安定と定着に向けた取り組みに力を入れていきます。

今後のボーイズトイの抱負を聞かせてください。

佐藤:我々が手掛けるキャラクターや商品は、子供たちにとって「正義」や「勇気」などの性格形成に大きな影響を及ぼしますので、その自覚を忘れずにモノづくりに携わることが大切です。そうした商品作りに対する使命とともに、そのキャラクターがどうすれば全社的に盛り上げていけるかということを常日頃から考えています。これからも高い意識を持って商品開発に取り組むことで、国内NO.1の地位を確固たるものにしていくつもりです。

※このインタビューは、2011年3月発行のニュースレター「バンダイナムコニュース」の一部を再編集したものです。