キーパーソンインタビュー

変化する時代や視聴者のニーズに合わせ絶えず斬新な切り口に挑戦する

株式会社サンライズ 専務取締役 宮河 恭夫

株式会社サンライズ
専務取締役 宮河 恭夫

1981年4月
(株)バンダイ入社
女児玩具部門、ネットワーク端末事業会社などを経て
2000年
サンライズ入社。
2011年4月
現職

30年以上にわたりファンから愛され続けている「ガンダムシリーズ」。
前作「機動戦士ガンダムOO(ダブルオー)」の放送終了から約2年半ぶりのTVシリーズとなる「機動戦士ガンダムAGE」が、いよいよ2011年10月より放映スタートします。今回は企画・製作を担当する(株)サンライズの宮河恭夫専務取締役に、作品のコンセプトやグループで展開する各種商品やサービスについて聞きました。

三世代にわたる壮大な大河ドラマを描く「起動戦士ガンダムAGE」2011年10月スタート

ガンダムシリーズとは?

宮河:ガンダムシリーズは、オリジナル映像のプロデュース集団であるサンライズを代表するコンテンツで、バンダイナムコグループにとって極めて重要なコンテンツです。各シリーズとも「ガンダム」というモビルスーツが登場し、独特なSF設定や世界観の中、戦争をテーマにした人間群像劇を描いています。第1作目の「機動戦士ガンダム(ファーストガンダム)」は30~40代を中心に、21世紀に入って製作した「機動戦士ガンダムSEED」「機動戦士ガンダム00」は10~20代を中心に、そして「SDガンダム」シリーズは小中学生を中心に支持されており、シリーズ全体では非常に幅広い層にファンを持つ作品です。

新作「機動戦士ガンダムAGE」のコンセプトを教えてください。

宮河:今作では、ガンダムワールドをより広く、より新しいお客様につなぐプラグとなるような作品づくりにトライし、新たなガンダム世代を育てていくことを目指しています。作品のキーワードは「三世代」。キャッチコピーは「三つの運命が歴史になる」で、三世代にわたるストーリーを描きます。
世代を超えて展開することで、主人公の成長の軌跡を追うとともに、親子関係や世代間の葛藤などが描かれます。ガンダム特有の重厚な物語はそのまま残し、子どもたちに親しみやすい表現や演出に重きを置くことで、子どもから大人まで幅広い層に楽しめる作品にしました。三世代にわたる壮大な大河ドラマは、作中の背景なども変わっていくことから、アニメーションとしては3つの作品を作るようなものです。これまでのアニメ製作では類を見ない挑戦となりますが、サンライズだからこそできる今までに見たことのない作品をご覧ください。

機動戦士ガンダム AGE

機動戦士ガンダム AGE
© 創通・サンライズ・毎日放送

ストーリー/シリーズ構成をゲーム制作会社レベルファイブの日野晃博社長が担当し話題となっています。

宮河:レベルファイブさんの作品は、「イナズマイレブン」シリーズや「ダンボール戦機」などが小学生男児を中心に人気となっています。そこで、ガンダムのゲーム開発でパートナーとしてバンダイナムコグループと組むことはできないかと打診していたのですが、日野社長ご自身がガンダムの大ファンということもあり、映像製作の企画段階から関わらせてほしいと逆にオファーを受けました。我々も世代を拡大したいという思いからレベルファイブさんの強みに着目していましたので、今回タッグを組むことを決めました。企画を進めるにあたっては、長年ガンダムに携わる我々にはない斬新なアイディアをいただいています。ゲームのクリエイターである日野社長と我々のノウハウがコラボレーションすることで、これまでのガンダムとは一味違った幅広い層に支持される作品になると確信しています。

商品やサービスの展開は?

宮河:商品・サービスではバンダイ、バンダイナムコゲームス、バンダイビジュアルなどグループ横断で展開を行います。今回の作品は、ガンダムが戦うことで自らの機体を進化させることができる「AGEシステム」を搭載しています。そのシステムを商品にも取り入れ、ガンダムシリーズとしては初めてプラモデルと玩具の完全連動を実現しました。具体的には、「ゲイジングチップ」と呼ばれるICチップを共通のパーツとしてプラモデルや玩具に搭載し、店頭に設置予定の無料ゲーム什器や複数のアイテムで、スキャニングしてバトルを楽しむことができます。また、主人公がガンダムを起動する際に使う「ガンダム専用起動装置 エイジデバイス」を商品化し、戦闘の記録やデータを蓄積することができます。このようにバトル、カスタマイズ、レベルアップといった子どもに欠かせない遊びの要素が存分に入っています。もちろん、ガンダム商品の代名詞であるプラモデルは豊富なラインナップを用意します。このほかにも、デジタルカードゲーム、ゲームソフト、映像パッケージなど、幅広いカテゴリーで商品化を行います。グループの総力を挙げて商品・サービスを展開することで、既存のファンはもちろんのこと、次世代を担う子どもたちにも作品の魅力を訴求していく計画です。

変化する時代や視聴者のニーズに合わせ絶えず斬新な切り口に挑戦する

「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」の今後の展開を教えてください。

宮河:最新作「機動戦士ガンダムUC episode 4 重力の井戸の底で」の映像展開が、11月12日よりスタートする予定です。「機動戦士ガンダムUC」は、映画館などでのイベント上映や、パッケージソフトの販売、多言語対応による配信などを世界ほぼ同時に行うクロスオーバーコンテンツです。この取り組みについては色々な意見がありましたが、ユーザーは映画館を出てすぐにその作品のパッケージを購入できますし、上映日に家にいながら配信で視聴することを望んでいる方も多いと考え、チャレンジしました。おかげさまでパッケージソフトの販売も好調で、海外でもアジアを中心に人気となっています。

機動戦士ガンダム UC episode4 重力の井戸の底で

「機動戦士ガンダム UC episode4 重力の井戸の底で」
© 創通・サンライズ

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」のアニメ化を発表しましたね。

宮河:この作品は、ファーストガンダムのキャラクターデザインを担当した安彦良和さんが「月刊ガンダムエース」(角川書店)で連載していた作品で、10年にわたる連載が終了したタイミングで、アニメ化のプロジェクトを発表しました。内容はファーストガンダムのリメイクと思われている方も多いようですが、ファーストガンダムの物語を安彦さん独自の解釈で描いた全く別の作品で、ファーストガンダムのファンだけでなく、子どもやティーンエイジャーなどの新しい世代に向けて作っていきたいと考えています。

そのほかには、新コンテンツの「TIGER & BUNNY」が人気です。

宮河:最新作「機動戦士ガンダムUC episode 4 重力の井戸の底で」の映像展開が、11月12日よりスタートする予定です。「機動戦士ガンダムUC」は、映画館などでのイベント上映や、パッケージソフトの販売、多言語対応による配信などを世界ほぼ同時に行うクロスオーバーコンテンツです。この取り組みについては色々な意見がありましたが、ユーザーは映画館を出てすぐにその作品のパッケージを購入できますし、上映日に家にいながら配信で視聴することを望んでいる方も多いと考え、チャレンジしました。おかげさまでパッケージソフトの販売も好調で、海外でもアジアを中心に人気となっています。

TIGER & BUNNY

「TIGER & BUNNY」
©SUNRISE/T&B PARTNERS.MBS

ガンダムシリーズの展望は?

宮河:ガンダムにはそれぞれのシリーズごとにファンがいますので、各層の満足度を高められるようにきめ細かく展開していきたいと思っています。ガンダムシリーズの特徴は、変化する時代や視聴者のニーズに合わせて、異なるテーマや世界観を展開できることです。ですから、絶えず斬新な切り口に挑戦していきたいですね。今後もサンライズならではの質の高い作品を作り続けていきますので、ぜひご期待ください。

※このインタビューは、2011年9月発行のニュースレター「バンダイナムコニュース」の一部を再編集したものです。