キーパーソンインタビュー

アミューズメント施設事業を主軸に
新たな収益の柱の確立に取り組む

(株)ナムコ 常務取締役 川崎 寛

(株)ナムコ
常務取締役 川崎 寛

1987年4月
(株)バンダイ入社
2001年4月
(株)バンダイ 執行役員 イノベイティブトイ事業部ゼネラルマネージャー
2003年4月
(株)バンダイ 社長室 ゼネラルマネージャー
2005年10月
(株)バンダイナムコホールディングス 社長室 兼 経営企画部ゼネラルマネージャー
2008年4月
(株)ナムコ 取締役
2012年4月
(株)ナムコ 常務取締役

アミューズメント施設事業では、中期ビジョンで「圧倒的リーディングカンパニーになる」ことを掲げ、国内市場のシェア拡大を目指すとともに、新たな事業や地域の柱確立に向けた取り組みを行っています。今回は、アミューズメント施設事業の状況と、今年の夏新たにオープンするテーマパークなどについて、(株)ナムコの川崎寛常務取締役に話を聞きました。

国内のアミューズメント施設市場の状況を聞かせてください。

川崎:ゲームセンターなどのアミューズメント施設市場は、「安・近・短」を代表する身近なレジャーとして注目された2011年と比較すると、景気低迷による消費冷え込みなどの影響を受けています。厳しい外部環境が続くことが予想されますが、現場では施設のサービスやお客さま満足度向上に向けてさまざまな知恵を絞っています。バンダイナムコグループにしかできない施設やサービスを提供することでお客さまへのアピールを行っていきたいと思います。

アミューズメント施設事業の中期戦略を聞かせてください。

川崎:アミューズメント施設事業は、2012年4月にスタートした中期計画で、「圧倒的リーディングカンパニーになる」を中期ビジョンに掲げ、重点戦略として「顧客セグメント別営業の進化」「チェーンストアマネジメントの確立」「施設におけるI P活用モデルの展開」「海外市場の開拓」を挙げています。具体的には、市場の状況やニーズを注視しつつ、スクラップ・アンド・ビルドを行って店舗数の適正規模を保ちながら、チャレンジによるシェア拡大と成長を目指しています。
また、I Pの積極活用など、バンダイナムコグループの強みを生かした施設展開により、競合他社との差異化に取り組んでいます。一方、守りの施策としては、事業構造の改革や収益構造の見直しを継続することで、安定収益の確保を図っていきます。

中期計画の成長戦略について具体的な施策を聞かせてください。

川崎:私はナムコの常務取締役として、現在はテーマパーク事業部、エンターテインメントク リエイト部、アジア事業推進部の3 部門を担当しています。そのミッションは、アミューズメント施設事業におけるポートフォリオの安定のために、現在の収益の主軸であるアミューズメント施設事業に続く、新たな収益の柱を確立することにあります。その具体的な施策の1 つとして、ナムコの強みであるテーマパーク事業にキャラクターなどのI Pを融合させ、テーマパーク事業の拡大を目指していきます。
また、エリアという面では、アジア市場全体を新成長領域と位置づけており、中長期的な視点に立ってさまざまな取り組みを進めていきたいと思います。

テーマパーク事業の具体的な施策を教えてください。

川崎:東京・池袋のサンシャインシティワールドインポートマート2 ~ 3 階にあった「ナムコ・ナンジャタウン」を1 月より一時休園し、2013年夏に2階部分にリニューアルした「ナンジャタウン」が、3 階部分に『週刊少年ジャンプ』の人気作品を使用した新たなテーマパーク「J-WORLD TOKYO」がオープン予定です。
「ナムコ・ナンジャタウン」は、1996年に日本最大級の屋内型テーマパークとしてオープンして以来、累計来場者数が2,800万人を超える人気テーパークとなりました。リニューアル後の「ナンジャタウン」は、コンセプトに大きな変更はなく、「池袋餃子スタジアム」などのフードテーマパークは継続し、アトラクションについては新しい設備の導入を考えています。施設規模は1 フロアに縮小されますが、遊びの高密度化を図り、これまで以上の感動体験を提供していきます。また、ナンジャタウンのサテライト展開として、さまざまなI Pを活用した期間限定のキャラクターイベントショップを“~ p r o d u c e d b y ナムコ・ナンジャタウン”として、各地で開催しており、お客さまから好評を得ています。今後もナンジャタウンのブランドを積極的に活用し、遊びの場を提供しつつブランド力を高めていきたいと考えています。

ナンジャタウン

2013年夏リニューアルオープン予定の「ナンジャタウン」(イメージ)

そして、新たにオープンする「J-WORLD TOKYO」は、『週刊少年ジャンプ』の世界における「共感エンターテインメント」を施設コンセプトに、「ONE PIECE」「NARUTO −ナルト−」「ドラゴンボール」の人気作品を中心としたキャラクターをリアルに体験できるアトラクションや、施設オリジナルのフード、ショー、オリジナルグッズなどを提供する予定です。ナムコが主体となり運営を行いますが、トイホビー事業やコンテンツ事業のノウハウも生かしオリジナル商品の企画や演出面での技術開発を行うなど、バンダイナムコグループ 全体で「J-WORLD TOKYO」を盛り上げていきたいと思います。ぜひご期待ください。

J-WORLD TOKYO

「週刊少年ジャンプ」の人気作品を使用した「J-WORLD TOKYO」
©尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
©バードスタジオ/集英社・東映アニメーション ©岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ

テーマパーク事業におけるナムコの強み・優位性は何ですか?

川崎:ナムコのスタッフは、お客さまを楽しませることでは一流だと自負しています。個々のゲストに応じたホストになりきるために、何をしたらお客さまが喜んでいただけるかを徹底的に勉強しています。このようにエンターテイナーやファンの目線に立った人材を持つことが、ナムコの強みであり、我々の財産です。こうした人材を介した価値提供に加え、バンダイナムコグループの強みであるI Pの活用、さらに新しい技術開発などの投資による価値提供によって感動を高めようとすることが、ナムコのテーマパークらしさであり、強みだと思っています。

海外におけるアミューズメント施設事業の状況を聞かせてください。

川崎:欧米では、数年前からの収益回復に向けた施策により、安定化が図られ始めてきました。特に米国では、キャラクターを使ったオリジナル施設の開発にも着手しており、今後の動向が楽しみです。一方、アジアは、中国や香港を中心にアミューズメント施設の企画・運営を行っていますが、今後はアミューズメント施設単独ではなく、トイホビーやコンテンツとともにグループ横断での取組みを行うことも必要だと考えています。アジアは商習慣などビジネスを展開する上で日本と異なる面もありますが、バンダイナムコグループのサービスや遊びに対するニーズが高く、受け入れられる土壌はあると考えています。グループ各社とも連携を図り、中長期的な視点に立って市場を開拓していくつもりです。現在展開している地域に加え、その他のアジア諸国における事業展開も視野に入れ、マーケットリサーチを行っているところです。

今後の抱負を聞かせてください。

川崎:中期計画の数値計画や戦略を達成させることに加え、次世代を担う人材の育成を私の重要テーマの1つに据え、取り組んでいきたいと思います。トイホビー事業や持株会社での経験も生かし、時にはアミューズメント施設事業を客観的な視点でとらえ、中期戦略を推進していきたいと思います。アミューズメント施設事業のミッションは、バンダイナムコグループの強みであるI Pを効果的に活用し、他社との差異化を図り、存在感を発揮していくことにあります。ナムコは、グループにおけるお客さまとの接点として、グループの資産であるI Pの魅力をお客さまに直接訴求し反応を感じることができる立場にあります。今後もナムコは、お客さまに感動していただけるように、新鮮で、居心地がよく、魅力にあふれた施設を提供していきます。

アイカツ!

グループIP「アイカツ!」を活用したキャラクターイベントショップ
©SUNRISE/BANDAI,DENTSU,TV TOKYO

※このインタビューは、2013年3月発行のニュースレター「バンダイナムコニュース」の一部を再編集したものです。