Bandai Namco Holdings X
サイト内検索フォーム

キーパーソンインタビュー

各ユニットがそれぞれの個性を発揮するため
グループ間にある課題の解決が私たちの使命

株式会社バンダイナムコホールディングス 取締役 グループ事業戦略本部長 桃井 信彦

株式会社バンダイナムコホールディングス
取締役 グループ事業戦略本部長 桃井 信彦

1968年12月25日生
1991年4月
ソニー㈱(現ソニーグループ㈱)入社
1998年12月
ネミックラムダ㈱(現TDKラムダ㈱)入社
2001年10月
㈱バンダイ入社
2004年7月
同社新規事業室ゼネラルマネージャー
2016年4月
同社業務執行役員メディア部ゼネラルマネージャー
2018年4月
同社取締役欧米事業政策担当・ライフ事業カンパニー長
BANDAI ESPANA S.A.代表取締役会長(現任)
2021年4月
㈱バンダイ常務取締役メディア政策担当、欧米事業担当
Bandai Namco Entertainment Europe S.A.S.(現 Bandai Namco Europe S.A.S.)取締役(現任)
2022年4月
Bandai Namco Holdings USA Inc.代表取締役社長(現任)
㈱バンダイ取締役 欧米事業政策担当
㈱バンダイナムコホールディングス 執行役員 グループ事業戦略本部長
2022年6月
同社取締役グループ事業戦略本部長(現任)
2024年4月
㈱バンダイ取締役欧州事業政策担当(現任)

※2024年8月末現在の略歴を記載

2022年4月の中期計画スタートに合わせ、㈱バンダイナムコホールディングス内にグループ事業戦略本部が新設されました。今回は、グループ事業戦略本部長として3年目を迎えた桃井信彦取締役に、ユニット間での連携を深めるための取り組みや、海外でのビジネス展開などについて聞きました。

経歴や現在の役割について教えてください。

桃井:私は、㈱バンダイに中途で入社し、23年になります。グループの外にいた経験を踏まえ、バンダイナムコを客観的に見て言語化し、社員に伝えることは役割の一つだと思っています。その際には、できるだけ相手が分かりやすい言葉で話すことを大切にしています。
現任のグループ事業戦略本部長の役割の一つは、グループの渉外担当だと思っています。基本的に、事業に関するさまざまな案件は、事業特性に合わせて各ユニットが担当しますが、グループ間の隙間に存在する案件や、どの事業にも属さない新たな商機があった際の窓口になるのが私の役割だと考えています。ほかにも、グループを横断して調整を行うことも重要です。例えば、バンダイナムコグループは、商品化ライセンシーとしての機能と、自社IPを活用するライセンサーとしての機能の両方を持っている珍しいグループですが、それぞれのノウハウを生かし、相乗効果の発揮に結びつけ、I P価値を高めていくための判断や施策を実施するようにしています。 また、グループの事業会社に長くいましたので、ホールディングスの中で事業の感覚や温度を伝えていくことも私の役割です。各ユニットが、それぞれの個性を発揮した事業を展開するために環境を整備し、連携を深めるための課題解決を率先して行いたいと思います。

取り組まれてきた施策やその進捗についての総括をお願いします。

桃井:まず、これまでに進めている施策として、グループ全体視点の統一的なプラットフォームであるデータユニバース構想の推進があります。さまざまなカテゴリーでの商品・サービス展開がグループの強みになっている一方で、グループ全体視点の統一的なデータプラットフォームはありませんでした。その強みを最大限に生かすため、多岐にわたる事業それぞれが持つデータを相互活用できれば、大きな成長へつながります。さまざまな視点からの分析を踏まえて仮説を導き出し、未来予測できる仕組みが理想です。システムはほぼ完成したので、今後しっかりと事業にひも付け、さらに価値を高めていきたいと思います。
グループ事業戦略本部は、2025年に大阪で開催される日本国際博覧会(大阪・関西万博)でのパビリオン出展事務局の役割も担っています。パビリオン名は、「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」で、ガンダムの世界観にフォーカスした展示となります。未来の生活や宇宙を想像したとき、ガンダムが持つストーリーや壮大な世界観は、最適なモチーフです。ガンダムを通じ、新たな技術や宇宙について多くの人が興味・関心を持つきっかけとなれば幸いです。
また、パビリオンは出展元の国名や企業名で出展する決まりになっていますが、粘り強い交渉の結果、世界で初めてIP名での出展ができることになりました。パビリオン全体をガンダムの世界観に統一し、作品を知らない方にも分かりやすい展示にしています。進捗も順調ですので、ぜひご期待ください。
中期計画の最終年度としては、これまで検討・推進してきたことを、次期中期計画にどのような形で生かすかが重要です。バンダイナムコの強みをより鮮明に打ち出しながら、引き続きファンのことを一番に考えて取り組んでいきます。

日本国際博覧会で出展する「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」のイメージ

海外でのビジネスについては?

桃井:私はバンダイの取締役として欧州のトイホビー事業も担当しており、現状はフランス、イギリス、スペインを軸に展開しています。新たに展開を試みたドイツでは、もとも と自国の玩具文化が根付いており当初は展開が非常に難しかったのですが、現地の文化や商慣行を理解したスタッフたちとともに取り組んだことで、ようやく軌道に乗り始めました。また、イギリスのロンドンに続いてスイスのジュネーブでテストオープンした「ガシャポンバンダイオフィシャルショップ」の反応が非常に良く、今後の欧州でのビジネス拡大につなげていきたいと考えています。
海外での展開で、私たちは単に商品を売るだけでなく、同時に文化を輸出していると考えています。例えば、イベントでのプラモデルの組み立て体験や、ガシャポンなどに初めて触れた海外の方からは、単純に商品を購入する以上の価値を評価いただいています。
また、人材育成は海外でも重要な課題です。これまでは、主に日本から来た人材が現地の人材に、日本のIPやIP軸戦略などの教育・育成をしていましたが、今後は成長した現地の人材が日本からの若手人材を育成し、現地だけで業務を推進するサイクルを確立できるように取り組んでいきます。

スイス・ジュネーブの「ガシャポンバンダイ オフィシャルショップ」

ファンのことを一番に考える企業文化を強みにデジタルの時代でも伸び続ける会社を目指す

バンダイナムコの優位性はどこにあると考えていますか

桃井:ファンのことを常に一番に考え、それらが企業文化として積み上げられていることは、優位性だと思っています。また、新しいことを始める人を応援したいというグループの意志が、人材育成の取り組みにもつながっています。私が担当する「バンダイナムココンテンツファンド」では、新たにIPを生み出すさまざまなコンテンツに対して、全体最適の視点からグループとしてプロデュースなどの支援を行います。そうして生まれたIPについては、失敗を恐れずにトライアンドエラーができるグループの実行力を生かし、ファンの方たちとともに育てていきたいと考えています。今後も個性と我慢強さを持った、ゼロからイチを生み出すことができるプロデューサーを全面的に支援していきます。

「パーパス“ Fun for All into the Future”」について感じることは?

桃井:「Fun for All into the Future」は、過去から常に私たちが思い、実行していることを改めて言語化したものだと考えています。それぞれが仕事をする中で、「Fun for All into the Future」の目線で考え、実践していくことが理想です。
同時に、「パーパ ス “Fun for All into the Future”」を各国の人々がより良く理解できる方法を考えることも必要だと強く思っており、各国の社員に協力してもらいながら、パーパスの多言語化をしています。言葉が持つニュアンスを、各言語でどのように紡ぐか議論することが、みんなで「パーパス “Fun for All into the Future”」そのものを考えるきっかけとなり、多言語化はプロセスとしても価値がありました。

仕事におけるモットーや夢について聞かせてください。

桃井:まずは伝えるということが非常に重要だと思っています。できる限り物事を複雑にしないで、相手にとってなじみのある言語で分かりやすく伝えることが基本です。「パーパス “Fun for All into the Future”」や 中 期 ビ ジ ョ ン で あ る「Connect with Fans」は、言葉こそ違うものの、もともと私の心の中にありました。会社の目標と、個人の目標が一致していると考えています。
また、私の夢としては、常にグループの役に立ちたいと思っています。私自身の価値として、ほかの人ができない仕事や、最も難しく手間がかかる仕事に、積極的に取り組む人間でいたいです。

読者に伝えたいことは?

桃井:バンダイナムコの、人の気持ちに寄り添う手触り感のある仕事は、デジタルが発達すればするほど今後も鮮明に残っていくと考えています。AIではなく人間が取り組む仕事として各事業を伸ばし続け、さらなる成長を目指します。引き続き、さまざまな角度からバンダイナムコグループの可能性を感じていただければと思います。

※このインタビューは、2024年9月発行のニュースレター「バンダイナムコニュース」の一部を再編集したものです。(2024年8月末現在の情報を記載しています。)