サイト内検索フォーム

キーパーソンインタビュー

トイホビー事業が6年連続で最高業績を記録
事業間の連携を強みに国内外でさらなる成長へ

株式会社バンダイ 代表取締役社長 竹中 一博

株式会社バンダイ
代表取締役社長 竹中 一博

1964年2月11日生
1987年4月
㈱バンダイ入社
2006年4月
同社メディア部ゼネラルマネージャー
2011年4月
同社業務執行役員ベンダー事業部ゼネラルマネージャー
2013年4月
同社業務執行役員コレクターズ事業部ゼネラルマネージャー
2015年6月
同社取締役
2018年4月
㈱BANDAI SPIRITS取締役
2019年4月
同社常務取締役
2021年4月
㈱バンダイ代表取締役社長(現任)兼 ㈱バンダイナムコホールディングス執行役員
2022年6月
同社取締役 エンターテインメントユニットトイホビー事業担当(現任)

※2024年11月末現在の略歴を記載

エンターテインメントユニットのトイホビー事業を担う㈱バンダイは、IPを軸に幅広い事業領域で商品・サービスをワールドワイドに展開しています。今回は、同社代表取締役社長の竹中一博に、トイホビー事業の現状や、グローバル市場における今後の展望などについて聞きました。

事業が好調な要因は?

竹中:トイホビー事業は、直近6年間で売上高が2.1倍、営業利益は3.5倍に拡大しました。各社が重点戦略に沿って事業を推進した結果だと感じています。好調の背景には、新型コロナウイルスによる人々の生活様式の変化があります。ネット配信など映像の視聴方法が多様化し、日本のアニメが世界中に浸透した結果、ハイターゲット(大人)層向け商品の展開を拡大できたことが最大の要因だと考えています。特に、バンダイと㈱BANDAI SPIRITSでは、定番I Pにおいて各事業部で連携を図り、プロモーションを強化しました。このほか、新規IPに対して常にアンテナを張り巡らせ、いち早く商品を展開できたことも好調の要因です。この結果、2024年度上期においても、売上高と営業利益がともに過去最高を記録しました。
現中期計画期間中に発売した新商品では、「ONE PIECEカードゲーム」が世界的に大ヒットしており、トイホビー事業全体の業績拡大に貢献しています。また、ガンプラは、TVアニメ作品「機動戦士ガンダム 水星の魔女」によるファン層の拡大や、劇場作品「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」の大ヒットが事業に良い影響をもたらし、引き続き好調に推移しています。そのほか、「ガシャポンバンダイオフィシャルショップ」の施設展開を、㈱バンダイナムコアミューズメントと連携し国内外で加速させ、直近の3年間で約280店舗まで拡大しました。また、9月にオープンした台湾地域1号店は、オープン初日の売上高が過去最高を記録しました。ハンドルを回すというエンターテインメント性の高い買い方も含めて、ハイクオリティーのカプセルトイ「ガシャポン」が日本のアイコンとして海外で受け入れられています。引き続き、グループ内の連携を生かし、今後も国内外で店舗拡大を目指します。

「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」のプラモデル「HG 1/144 ライジングフリーダムガンダム」©創通・サンライズと9月にオープンした「Gashapon Bandai Official Shop TAIWAN SHOP No.1」©BANDAI

生産体制の強化については?

竹中:ガンプラの生産については、国内生産拠点である「バンダイホビーセンター」だけでなく、栃木を拠点とする㈱バンダイナムコクラフトとの連携を強化し、生産量を拡大しています。また、今後の需要に対応するべく、「バンダイホビーセンター」の新工場も建設中です。このほか、トレーディングカードなどのカード生産においても、㈱アートプレストの生産力向上に向けて積極的に投資を行い、グループ内で生産をコントロールしやすい環境を構築しました。今後も、継続的にグループ内のリソースに投資を行いながら、生産体制の強化に注力します。

グローバル市場の状況と今後について教えてください。

竹中:トイホビー事業では、将来的に海外売上高比率50%を目指しています。現在、重点地域である北米・中国事業の集中強化に取り組んでおり、さらに同市場を開拓できると考えています。北米エリアでは、カード商材やコレクターズフィギュア、ガンプラなどのハイターゲット層向け商品が好調で、その他の事業についても伸びしろがあります。
また、「たまごっち」が世界的なファッションアイコンとして注目を集めており、拡大のチャンスだと考えています。今後も、北米地域で主戦場になっているホビーショップだけでなく、現地の総合スーパーにも商品を展開していきます。

中国事業については?

竹中:中国内地の市場は大きく、まだまだ成長を期待できます。ガンプラ専門店の「THE GUNDAM BASE」や「ガシャポンバンダイオフィシャルショップ」も、店舗を拡大しています。また、中国内地ではお菓子に根強い人気があり、「クレヨンしんちゃん」の作中に登場するお菓子を商品化した「チョコビ」が大変好評です。ローカルトイや菓子事業、現地IPの商品展開によって、今後も事業を拡大していきます。

デジタルマーケティングやEC戦略について教えてください。

竹中:顧客に直接アプローチができるSNSなどを活用して、デジタルマーケティングを推進しています。グループ公式通販サイトの「プレミアムバンダイ」は、2023年に国内会員数が555万人を突破し、海外の会員数も順調に拡大しています。自社ECでお客さまと直接つながることは大変意味があることで、今後も一般流通との相乗効果を前提に展開していきます。また、「プレミアムバンダイ」を展開していない中国内地においても、適切なプラットフォームを利用し、ファンを拡大していくとともにユーザーと直接つながることができるサービスの拡充を目指します。

グローバル市場におけるバンダイナムコの優位性は?

竹中:日本の版権元さまとの強力なパートナーシップを生かし、さまざまな商品・サービスを開発できる点が、私たちの優位性です。また、海外にも拠点があることで、グローバル市場においても販路を持っているという強みがあります。国ごとに準拠すべきさまざまな商品展開の規定はあるものの、世界同時展開できる商品も増やしていきたいと考えています。今後も、IPを軸にした豊富な商品カテゴリーを強みに、各エリアの特性に合わせて展開していきます。

人々を笑顔にできる商品をつくり続け、世界中に「夢・遊び・感動」を届けたい

バンダイナムコグループにおけるトイホビー事業の役割とは?

竹中:収益をけん引することはもちろん、商品サイクルの早いトイホビー事業において、新規IPへの感度を常に高め、グループのIP軸戦略を推進していくことも重要です。また、バンダイはお子さまに向けた商品展開を主とする会社であり、将来のIPファンをつくる役目を担っています。特に、食玩やガシャポンなどお子さまにも身近でタッチポイントの多い商品は、I Pファンへの入り口として最適だと考えています。

今後の注目IPや商品について聞かせてください。

竹中:「ドラゴンボールDAIMA」が10月に放送を開始し、同時に「ドラゴンボールスーパーカードゲーム フュージョンワールド」も展開中です。また、世界的にヒットを記録中の「ONE PIECEカードゲーム」に続き、「GUNDAM CARD GAME」が25年に本リリースを予定しており、人気を博すトレーディングカードゲームの商品展開に今後も注力します。
そのほか、現在放送中の「仮面ライダーガヴ」の変身なりきり遊びを楽しめる「DX変身ベルトガヴ」が、日本玩具協会が8月に発表した「日本おもちゃ大賞2024」のキャラクター部門大賞に選出されました。今後も、お子さま向け商品だけでなく、幅広いターゲットのファンに商品やサービスを届けていきます。

「ドラゴンボールスーパーダイバーズ」新筐体 ©バードスタジオ/集英社・東映アニメーションと「ドラゴンボールスーパーカードゲーム フュージョンワールド」©バード・スタジオ/集英社・東映アニメーション ©BANDAI

「日本おもちゃ大賞2024」のキャラクター部門で大賞を受賞した「DX変身ベルトガヴ」©2024 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映 ©BANDAI

「パーパス」(企業の社会的意義)についてどのように感じますか?

竹中:バンダイには、元々「萬代不易」という創業理念があります。いつの世も人々を楽しませる商品を作り、企業としての発展を願うという意味が込められており、「パーパス“Fun for All into the Future”」もそこにつながると考えています。お客さまを笑顔にできる商品を一つでも多く生み続け、バンダイナムコグループをエンターテインメントにおける世界市場のリーディングカンパニーにすることが私の夢です。今後も世界に向けて果敢に挑戦します。

株主や投資家の皆さまへ。

竹中:世界中の幅広いターゲットに向け、「夢・遊び・感動」を届け、多彩なエンターテインメントの創出に取り組み、応援してくださるファンの拡大を目指していきます。引き続き、バンダイナムコグループの展開とさらなる成長にご期待ください。

※このインタビューは、2024年12月発行のニュースレター「バンダイナムコニュース」の一部を再編集したものです。(2024年11月末現在の情報を記載しています。)