新たなファン層を拡大し、過去最高の興行収入を達成
私は企画プロデューサーとして、劇場版「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」(以下、「SEED FREEDOM」)の完成に向け、制作プロデューサーとともに映像本編の制作に関わり、完成後はグループ横断の商品・サービス展開、宣伝展開の統括としての役割を担いました。
今回の「SEED FREEDOM」はTVアニメーション「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」から20年ぶりの新作となります。様々な事情で制作に時間を要しましたが、公開後は、非常に多くのファンに足を運んでいただき、劇場版のガンダムシリーズとしては過去最高となる、国内約49億円(2024年7月22日時点)超の興行収入となりました。20年前からのファンに加え、10代から20代の若年層も多く来場いただき、新たなファン層の拡大を感じることもできました。
ALL BANDAI NAMCOの展開が成功を実現
成功の要因としては、まず、グループ各社がSEEDシリーズの商品・サービスを20年にわたって展開し続けていたことにより、作品が忘れ去られることなくファンの心をつかみ続け、「SEED FREEDOM」への期待感の醸成につながったと考えています。また、近年のインターネット配信の普及拡大により、SEEDシリーズの多くの過去作品が配信され、幅広い世代が手軽に作品を視聴できる環境が整い、作品への理解が促進されたことが挙げられます。加えて、20年を経たことで、制作技術も格段に進歩し、CG技術の活用で全編にわたって見ごたえのある映像表現を実現できたことも要因です。
商品・サービス展開としては、TVアニメーション「機動戦士ガンダム 水星の魔女」と同様、ガンダムプロジェクトが中心となり、公開前からバンダイナムコグループ全体でプロモーションを仕掛け、公開と同時に多くの商品・サービスを展開しています。特にガンプラは、映像作品とともに車の両輪のように連携し、「SEED FREEDOM」の新商品だけでなく過去のSEEDシリーズのリピート商品の販売も好調に推移するなど、作品のファン層の広がりと連動する形で大きな相乗効果が発揮されました。
2004年からSEEDシリーズに携わってきましたが、様々な想いが詰まった作品として、20年を経て完成に至ったことは、グループ全体の協力があってこそです。また、長くお待たせしながらも、ファンから多くの支持を得られたことで、ガンダムとファンのつながりの深さを改めて感じることができました。今後は若い世代にしっかりとバトンをつなぎながら、これからのガンダムが時代とともにどのように変化し、新たな姿を見せていくのか楽しみにしています。