中長期の成長を目指し、体制の強化をはかる
近年、ゲーム産業においては、ゲーム自体の開発の高度化による技術対応、マルチプラットフォーム化や言語などのワールドワイド対応、ユーザーニーズの多様化など、大型タイトルを中心に開発の難易度は高まっています。それに伴い、開発期間が長期化し、開発コストが増え、よりスピード感を持って対応していく必要性が高まっています。
こうした中、適切なリソース配分やスケジュール管理などにより、計画通りにつくりきり、リピート販売の強化やダウンロードコンテンツなどにより運営タイトルを長期化する体制構築が必要不可欠だと考えています。(株)バンダイナムコエンターテインメントでは2024年3月期から、投資額と開発進行のバランスの取れたタイトルポートフォリオの構築を実現すべく、体制面の整備を進めています。すでに着手している開発中タイトルの審査強化に加え、バンダイナムコならではの強みを活かした新規開発タイトルを初期段階で判断する組織体として「ポートフォリオ会」を設置。(株)バンダイナムコエンターテインメント代表取締役社長が議長となり、事業全体を俯瞰する全体視点で、戦略的にタイトルポートフォリオの編成を判断しています。
とはいえ、こうした新たな開発体制による効果の発揮には、一定期間が必要です。昨今のゲーム開発には3年から5年程度の期間を要するため、中長期視点で着実に取り組み、成果に結びつけたいと考えています。
また、ゲーム開発が長期化する中、若手クリエイターの開発経験を積み上げる仕組みも必要です。(株)バンダイナムコスタジオでは、2019年よりゲーム開発の一連の流れを3~4カ月で経験する新人研修「GEMiniプロジェクト」を実施しています。2021年には、若手クリエイターがより自由な発想で開発に取り組める場として、ゲームレーベル「GYAAR Studio」を立ち上げました。本レーベルでは、開発経験1年ほどでゲームをリリースし、ファンの声を聞くという経験を早いサイクルで行っています。
このほか、私にとっても非常に重要なミッションとして位置付けているのが、(株)バンダイナムコスタジオを中心にグループ内スタジオで蓄積されたノウハウをグループ内外と組み合わせることです。自社開発で蓄積されたノウハウを、グループのほかの事業やパートナーである外部開発会社とも接続し、グループ内外の様々な知見を得ることで開発スタジオのレベルアップをはかりたいと考えています。こうした全体としての課題解決への取り組みが、クオリティの向上だけでなく、効率化による開発スピードの向上にもつながります。
そして、何よりも大事なことは、他社にはできないバンダイナムコならではのゲームづくりにこだわることです。IPの魅力を活かしたゲームづくりという私たちの強みを最大限伸ばすことで、ファンが求めるゲーム開発を今後も追求していきます。