市場規模の拡大とともに、ファンが求める商品をスピーディに開発
カプセルトイ専門店の展開が急激に増加するとともに、当社のカプセルトイ(ガシャポン)のアイテム数も増加しています。ガシャポンは年間で約1,200以上のアイテムが投入されますが、商品サイクルとして早いものは約1~2カ月で入れ替わります。人気商品は半年ほどのペースで再販されることもありますが、基本的には次々と新商品に入れ替えていきます。こうした商品サイクルにより、開発面ではファンが求める新商品をいかに早く投入できるかが求められます。開発にあたっては、POS自販機からの販売データを入手し開発に活かしていますが、常にアイデアを出し続けなければ、間に合わないほどのスピードが求められます。
またガシャポンのターゲット層も変化しており、子どもだけでなく、最近では女性を中心に大人層にも拡大し、全世代がターゲットになっています。その結果、人気のIP商品だけでなく、大人も楽しめるノンIPの商品開発も重要なテーマです。
海外においては、地域ごとに人気商品の傾向が異なるため、国内同様に現地専門店からのファンの購入データを分析しながら、海外認知度の高いIPの活用や、全世界共通で受け入れられる動物などをコンセプトとした商品を投入しています。海外市場は、国内ほどのカプセルトイ文化が確立されていませんが、まだまだ大きなポテンシャルがあるとみています。国内で販売好調だったアイテムを海外向けに展開するだけでなく、世界同時展開を見据えた商品開発に取り組んでいます。
面白さと驚きを与える商品開発
ガシャポンの開発にあたっては、新しいものを創ることを大切にしています。安定的な販売が期待できる定番シリーズだけではなく、常に新仕様、新素材、新IPなど変化に挑戦する意識を持っています。また、ただ新しいのではなく、驚きがあるか、面白いか、目を惹くか、という視点も非常に重要です。
毎月大量のアイテムが市場に送り出される中、既視感のある商品だけではすぐに埋もれてしまいます。いかにファンに選ばれる魅力的な商品を生み出すか、カプセルを開けた時の驚きや楽しさを伝えるかは、企画開発チームの間で共通目標になっていると思います。
今後は「カプキャラ」などに代表される、ガシャポンを回して出てきたものすべてが商品になるカプセルレスシリーズに注力したいと考えています。カプセルレス商品は綺麗な球体にはならないものも多く、自販機からうまく排出できるかなどの検証が必要な開発難度の高い仕様ですが、自販機の開発を行っているバンダイナムコだからこそ開発できる商品でもあります。カプセルレスシリーズは、バンダイナムコらしいサステナビリティを実現した商品でもあるように、ガシャポンを瞬間的なブームではなく、継続的にファンを増やしエンタメとして定着させられるよう、手に取った人の琴線に触れる商品開発を行っていきたいと思います。