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PRESIDENT’S MESSAGE

社長メッセージ

浅古 有寿
株式会社バンダイナムコホールディングス 代表取締役社長 CEO
360度、全方位でFansとつながり、
ともに持続的な成長を果たしていきます。

社長就任にあたって

 このたび、(株)バンダイナムコホールディングスの代表取締役社長に就任しましたことを、謹んでご報告申し上げます。私は1986年に(株)バンダイへ入社、2005年に当社へと籍を移し、経営企画や経営管理を中心に、幅広い業務に携わってきました。2010年には当社取締役に就任、コーポレートの視点からグループ経営に参画し、今日に至ります。
 バンダイナムコグループはちょうど20年前、(株)バンダイと(株)ナムコ(当時)という個性ある2社の経営統合により誕生しました。初代社長である髙須氏と続く故 石川氏と田口氏がグループの「器」をつくり「魂」を入れ、バンダイナムコのDNAを植え付けました。そこに、前社長である川口という強力なエンジンが搭載され、当社は売上高1兆円企業へ成長しました。こうした歴代社長のバトンを引き継ぎ、グループのかじ取りを担うことについて、改めて身が引き締まる想いです。
 近年、私たちの事業が成長を続ける一方で、グループの組織自体は、多彩な個性を持つ中小企業の集合体という性格も残しています。現場の従業員が安心して仕事に取り組み、チャレンジ精神を発揮するためには、土台となるインフラの整備、定期的メンテナンスが不可欠であり、業績が安定している今がその絶好のタイミングです。これを機に各事業がより自由闊達に挑戦できる環境を整えていきます。
 10年、20年先を見据えた持続的成長を追求するうえでも、社会の一員としての社会的責務を果たしていくうえでも、グループガバナンスの向上は急務です。「攻め」と「守り」のバランスを整えつつ、足場固めを行うことが、私に課せられた使命であると考えています。

「攻め」と「守り」のバランスを整えつつ、
足場固めを行うことが、
私に課せられた使命であると考えています。

チーム体制での経営を推進

 私は主にコーポレート部門で長く経験を積んだ人間であり、事業サイドとの役割分担を常に意識してきました。社長として、最終的な意思決定は私自身で行いますが、「CW360(詳しくはP.37をご覧ください)」など、「攻め」の戦略の部分では、取締役副社長の桃井にリーダーシップを発揮してもらいます。桃井は事業の現場を熟知し、また近年は万博関連などグループ横断のプロジェクトにも多く携わり、こうした役割を担うのに、うってつけの人材です。
 また、チームによる経営を推進する観点から、私が兼務してきたCFO、CISOおよびCSO業務について、それぞれ辻、藤田という新任取締役を配しました。2人にはコーポレート部門の意識改革の面でも大いに期待しています。なお当社の取締役体制は、監査等委員も含め、取締役の3分の1が社外取締役、5分の1が女性取締役となります。取締役会の多様性がより高まり、これまで以上に自由闊達な議論の場となっていくことを期待しています。

業績評価:売上高・営業利益ともに過去最高を更新

 前中期計画(2022年4月~2025年3月)の最終年度である2025年3月期は、現場の従業員たちの頑張りにより、売上高1兆2,415億円、営業利益1,802億円と、過去最高業績を達成することができました。また、前中期計画3年間の平均営業利益は1,291億円となり、前々中期計画の平均営業利益824億円から大幅にベースアップしました。
 セグメント別でも全事業が増収増益となり、特に利益率の高い商品・サービスが人気となったトイホビー事業とデジタル事業が大きく貢献しました。7期連続で過去最高業績を更新したトイホビー事業では、ガンプラなどのハイターゲット(大人)層向け商品や、カード・カプセルトイ・菓子などのカテゴリーが好調に推移しました。開発体制の見直しを進めているデジタル事業では、「ELDEN RING」の大型ダウンロードコンテンツや本編のリピート販売など、主力タイトルや新作タイトルのヒットにより、過去最高益に迫る水準となりました。また、IPプロデュース事業は「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」や「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」で「ガンダムシリーズ」の新たな可能性を切り拓き、3期連続で過去最高業績を更新したアミューズメント事業では、グループのIPや商品・サービスと連携した「バンダイナムコ Cross Store」などが好調に推移しました。

中期計画(2025年4月~2028年3月)

全方位でファンとつながる「CW360」

 前中期計画では、ALL BANDAI NAMCOでの取り組みが効果を発揮しました。海外における拠点統合・ワンオフィス化やグループを横断したIPプロジェクトや人材交流により、ユニット間の連携が活発化し、ビジネスパートナーとの協業・連携にも広がりが出てきました。2025年4月にスタートした今中期計画では、こうした取り組みをより強力に推進していきます。
 近年の業績拡大は、定番IP商品・サービスや既存事業の深掘りによる部分が大きいと見ています。さらなる深掘りの余地は十分にあるものの、より中長期の視点で、将来の成長領域への道筋を示しておく必要があります。そして、その役割を担うのは、持株会社の当社であるべきだと考えています。
 そうした課題を踏まえ、今中期計画では中長期ビジョン「Connect with Fans」のもと、IPファンだけでなく株主や従業員、ビジネスパートナー、社会といったあらゆるファンと360度でつながり共創することを目指します。3年間で約1,500億円の戦略投資(“360”投資)枠の設置や、それを推進する組織であるCW360(Connect with 360)を当社内に新設するなど、内外のファンとつながる施策を推進していきます。
 例えば、日本のエンターテインメントを「文化」として海外に輸出するためには、各企業が互いの強みを持ち寄り、ともに取り組みを進めていくことが必要です。CW360第1号案件となるソニーグループ(株)および(株)Gaudiyとの戦略的パートナーシップ締結を皮切りに、より積極的な施策を推進していきます。

ユニット体制の変更

 今中期計画のスタートに合わせ、従来のユニット体制に2点、変更を行いました。
 エンターテインメントユニットの分割では、2021年4月に誕生した同ユニットを、「トイホビーユニット」と「デジタルユニット」という以前の形に戻しました。もともと上記の統合は、トイホビー、デジタル両事業の連携促進を意図したものですが、当初の目的が達成されたため、その発展的解消をはかったものです。
 アミューズメントユニット内の再編では、(株)バンダイナムコアミューズメントの株式を吸収分割により、新会社(株)バンダイナムコエクスペリエンスに承継しました。新会社が新たな事業統括会社となり、施設・業務用機器・コンテンツの企画販売を手掛け、前者は施設運営に特化した会社となりました。これにより、企画開発と施設運営、それぞれの強みを強化し人材の獲得・育成を行います。

トイホビー事業が成長を牽引

 今中期計画での成長の牽引役は、トイホビー事業になるでしょう。ビジネスのサイクルが速い分、よりスピーディに施策に取り組むことができます。商品カテゴリーやIPの種類、展開エリアにまだまだ拡大の余地があるだけに、さらなる成長の可能性は十分にあります。
 デジタル事業では、最適なポートフォリオ構築に向けた開発体制の見直しを推進します。開発のリードタイムが長いため、本格的な効果が出てくるのは、中期計画期間の後半以降と見ています。それまでは、開発中タイトルの精査、豊富な過去タイトルの活用、安定基盤であるネットワークコンテンツの強化など、ヒットの有無に左右されづらい収益基盤の強化に努めます。
 映像音楽事業(旧 IPプロデュース事業)では、新規IP創出に向け、自社制作体制の強化や外部パートナーとの共創など、斬新な映像・音楽表現に挑みます。またアミューズメント事業では、グループのIPや商品・サービスとの連携など、当社グループならではの取り組みを推進していきます。
 今中期計画最終年度(2028年3月期)の計数目標は、売上高1兆4,500億円、営業利益2,000億円、海外売上高比率(仕向地別)50%以上、また3カ年の継続的な目標として、営業利益率12%以上、エクイティスプレッド5%以上を掲げています。中長期での持続的な成長を目指し、IP価値の最大化による企業価値の向上と、長期的な利益創造に向け、1株当たり当期純利益(EPS)とエクイティスプレッドを意識し 引き続きROEの向上にも注力します。また、株主還元においては、株主の皆様とより長くつながることを目指すとともに、資本コストを意識し株主還元方針の一部変更を行いました。

自由闊達に挑戦できる成長環境づくりに注力

 多彩な才能・個性の持ち主が共存し、自由闊達に活躍することが、バンダイナムコの優位性の源泉です。この「同魂異才」の考え方のもと、各領域で第2・第3層の人材育成を強化します。CW360が推進するプロジェクトへの若手メンバーの起用などを通じ、失敗を恐れず新たなことに挑戦できる良い意味での「散らかし屋」の育成に注力していきます。
 そのためにも、人事の仕組みに関するプラットフォームづくりは急務です。教育プログラムのメニュー提供、グループ共通の人材要件定義など、当社の果たすべき役割は数多くあります。また、人事交流や組織再編を円滑化するには、制度面の統一も必要です。業務の品質確保・効率化のためにも、人事制度の標準化を推進していきます。

多彩な才能・個性の持ち主が共存し、
自由闊達に活躍することが、
バンダイナムコの優位性の源泉です。

役員報酬体系の見直し

 より投資家目線で中長期の企業価値向上を目指す観点から、このほど、監査等委員を除く社内取締役の報酬体系を見直しました。
 まず、営業利益と並ぶKPIとして、EPSを追加しました。EPSの算出に用いる分子の親会社株主に帰属する当期純利益はビジネスの結果そのものであり、分母の発行済株式数にも資本政策が反映されているため、取締役のインセンティブとして適切と考えています。
 併せて、取締役の人数変更に伴い年間総報酬額の上限を引き上げ、かつ、変動報酬に含まれる業績条件付株式報酬については支給条件を変更しました。これに伴い、固定報酬と変動報酬の金額割合は、従来の約4:6から約3:7になるとともに年間総報酬に占める株式報酬割合が増加します。また、事業統括会社等を含む国内子会社の業務執行取締役にも同様の制度を設けるなど、様々な制度の導入によりグループ全体の意識改革を促しています。

すべてのファン(Fans)を全方位で
エンターテインメントの力でつなぐことで、
私たちは社会に貢献し、
持続的成長を実現していきます。

世界を笑顔でつなぐために

 中長期での持続的な成長に向け、企業理念の共有・言語化は極めて大切です。特にグループの最上位概念「パーパス」については、様々な場面で浸透をはかっています。
 パーパスの精神を私なりに言い換えると、「世界を笑顔でつなぐ」となります。「笑顔」は、自分1人でつくれます。それは自分自身の心を豊かにし、その効果は周囲の人々にも波及します。そして「世界」には、様々なレイヤーが含まれます。IPファンの集う空間、自社の経済圏や会社組織、個々人の家庭や、一人ひとりの心。これらすべてをファン(Fans)と定義し、全方位でエンターテインメントの力でつなぐことで、私たちは社会に貢献し、持続的成長を実現していきます。さらなる飛躍を目指すバンダイナムコの取り組みに、より一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2025年9月
浅古 有寿

私にとってのパーパス

私にとってFun for All into the Futureとは、世界を笑顔でつなぐということです。

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