MESSAGE
副社長メッセージ
既存領域の「先」「横」に
新たなフロンティアを開拓していきます。
10年、20年先への種まき
このたび、取締役副社長を拝命し、代表取締役社長の浅古とバディを組んでグループ経営の一翼を担うこととなりました。経営の「攻めと守り」のうち、より中長期的な「攻め」の部分が、私の担当する役割だと認識しています。新たに発足した「CW360(Connect with 360)」を軸に、グループの将来を見据えた大胆な戦略投資を推進していきます。
自分たちの事業領域を深掘りし、その周辺を広げ、収益に結びつけていくのは、バンダイナムコグループの得意とするところです。このような事業ユニット主体の取り組みが、近年の業績拡大に大きく貢献してきた一方、事業領域から離れた「飛び地」へのアプローチは、単年度や中期計画3年間の計数予算達成などの責任を持つ事業ユニットにとっては取り組みづらいものと言えます。
事業会社が懸命に稼ぎ出してくれた収益を、短期的にはビジネスに直結しない可能性があるテーマに投資するのは、確かに勇気の要ることです。しかしながら、企業としての持続的成長に向け、中長期の視点で未来への種まきや先行投資を実施していくことは、企業経営において必要不可欠と言えます。大切なキャッシュの有効活用に努めることは、投資家の皆様に対する責務でもあります。関係各所と緊密な連携をとりつつ、失敗を恐れず、信念を持って全力で攻め抜く覚悟を固めています。
CW360の挑戦:既存領域の「先」「横」へ
既存の事業領域の「攻め」に関する課題は、より現場に近い事業ユニット単位で取り組んでいきます。CW360の戦略投資は、別の視点でグループ全体の事業ポートフォリオを俯瞰し、既存領域の「先」「横」へ新たな領域にフラッグを立てていくことが役割となります。
国内外のファンデータを活用
CW360の第1号案件となるソニーグループ(株)と(株)Gaudiyとの戦略的パートナーシップでは様々なテーマに取り組みますが、その1つがGaudiyのグループ会社が運営する日本のアニメ・マンガに関する世界最大級のコミュニティサイト「MyAnimeList(以下、MAL)」との協業です。
前中期計画においてデータユニバースによるグループの主要なファンデータ接続を行い、事業の需要予測にも活用をスタートしていますが、これらのデータは国内が中心です。今後このパートナーシップによってMALを世界中のファンとつながるサイトに進化させ、日本のアニメ・マンガが、どの国・地域で、どれくらい人気が出ているかという情報をデータ化し、IP軸戦略とつなげることで、アニメや商品・サービスのグローバル展開に活用していきます。また、CW360による外部パートナーとの協業やプロジェクトに従業員が参加することで、様々な刺激が受けられ、経験を積むことができます。こうしたCW360の取り組みを次世代経営人材の育成にもつなげていきたいと考えています。
地理的フロンティアの拡大
既存領域の「先」「横」を目指していく姿勢は、地理的なレベルでも同様です。今中期計画の重点地域は引き続き北米と中国ですが、中南米地域においてもメキシコを中心に事業伸長が見られ、今後の可能性が拡大してきました。また、個人的にはアフリカ諸国にも注目しています。日本IPのファンは世界中にいます。世界各地域で開催されるコミコン(コミック・ブック・コンベンション)などのイベントへの出展などを行いながら、ファンとコミュニケーションをとり、各地域の文化や特性を見極めながら地理的拡大の可能性を見定めていきます。
未来のガンダムファンとの出会い

大阪・関西万博へのパビリオン出展は、海外の来場者がガンダムに触れる機会となるとともに、未来のファン獲得に向けた最高の種まきとなりました。私も現地に足を運び、来場者の熱気にただただ圧倒されました。特に感銘を受けたのが、修学旅行の小中学生たちが大勢ガンダムを見に来てくれたことです。子どもたち自身にとっても、貴重な思い出の1つになったと思います。
パビリオンの運営は、クルーの熱意あふれる対応で、サービス精神あふれるものとなりました。総勢60名以上の優秀なクルーは私たちの仲間であり、この出会いを今後も大切にしていきたいと考えています。
業界全体の地位向上に向けて
私は今、エンターテインメント業界の地位向上に向けた活動に積極的に取り組んでいます。(一社)日本商品化権協会で副理事長を務めているほか、経団連・JETRO・経済産業省の審議会等にも参画し、積極的に関係省庁の方と協議を行い、最新の通商白書では、コンテンツビジネスに関する一章が設けられました。また大学院のビジネススクールでCW360の概要に関する講義を受け持ち、大きな反響もありました。
グループはもとより業界や国内に閉じない、このような取り組みは、私たち自身にとっても大切です。バンダイナムコがどのような会社で、どういった経済的・社会的価値を創造しているのか。それを分かりやすい言葉で広く伝え、全方位のFansとつながることで、ともにCW360を推進していきたいと考えています。
私にとってのパーパス
エンターテインメント事業は「なくても生活できる」と思われがちですが、私たちはむしろ、エンターテインメントこそが社会にとって必要不可欠なものだと信じています。私たちの仕事は、パーパスの実現そのものであり、ただ掲げて終わるのではなく、本当の意味で魂を込めて実行していくことが大切です。私たちに関わるすべての人がFansであることを目指し、その想いを日々の仕事に込めています。また、パーパスを本当の意味で理解し、自分たちの言葉で受け止めることが重要です。多言語化によって、世界中の従業員一人ひとりが自分の言葉でこの想いを共有できるように注力していきます。



