Bandai Namco Holdings X
サイト内検索フォーム
CFO’S
MESSAGE

CFOメッセージ

辻 隆志
株式会社バンダイナムコホールディングス 取締役 チーフファイナンシャルオフィサー(CFO) 経営企画本部長
資本市場での「Fans」獲得に向けて
財務戦略の精度を高め、
市場と向き合った経営を推進していきます。

収益基盤が安定的に拡大

 2025年3月期は、売上高・利益ともに過去最高を更新し、前中期計画の最終年度を良い形で締めくくることができました。3カ年の平均営業利益は、前々中期計画から大きく拡大し、収益基盤が一段と厚みを増しています。今中期計画ではこの基盤を、さらに20%以上厚くすることを目指します。
 過去最高業績を更新中のトイホビー事業は、ほぼすべてのカテゴリーが好調に推移し、今後もグループを牽引するさらなる成長が期待できます。また、デジタル事業では、引き続きタイトルポートフォリオの適正化に注力し、安定した主力アプリタイトルの収益に、新規タイトルのヒットによる上乗せを狙います。映像音楽事業は、複数の映像作品がファンに支持され、その配信やライセンスのグローバル展開が業績に貢献しています。アミューズメント事業も、国内既存店売上高や業務用ゲームの販売が好調に推移し、底堅い状況が続いています。

市場と向き合い、グローバルな成長を志向

 今中期計画では、計数目標として新たに海外売上高比率(仕向地別)を追加し、またROEをエクイティスプレッド(=ROE-株主資本コスト)に変更しています。
 海外売上高比率(仕向地別)は、前中期計画で40%を突破しています。国内事業が好調なだけに、「最終年度 50%以上」は、かなり高いハードルですが、引き続きグローバル展開を強化します。
 また、株主資本コストは、現状8%程度と認識しています。今後も継続的に外部の専門機関にも算定を依頼し、検証したうえで開示を進めるとともに、これを5%以上上回るROEの継続的達成を目指します。成長投資を着実に実行しつつ、IR活動の強化や業績予想の精度向上に努め、市場と向き合った経営を推進していきます。

今中期計画の財務戦略

 手元資金に関する考え方も、一部見直しを行いました。社員の自由なチャレンジを促すための人件費1年分、パートナー企業との開発および生産の円滑化を含めた運転資本として月商の約2カ月分、さらに後述する「“360”投資」の1年分を合わせた計3,500億円程度を常時確保する方針です。
 中期計画3カ年の資本配分は、成長投資に約6,000億円(前中期計画の1.5倍)を優先的に投入します。この成長投資では、IP軸戦略の強化および事業収益基盤の安定化を目的として、ゲーム・映像製作費ならびに通常の設備投資を積極的に推進します。また、これらの投資とは別枠で、中長期の将来を見据えた“360”投資に約1,500億円を配分する計画です。
 “360”投資は、国内外すべてのステークホルダーとつながり、新規領域の開拓を目指す戦略投資です。外部パートナーとの共同投資も含め、有望な企業とのアライアンスを積極的に推進していきます。また、軌道に乗ったビジネスは事業会社へ引き継ぎ、グループ全体で成長投資を推進していきます。

図:キャピタル・アロケーション

株主還元のさらなる充実

 政策保有株式の縮減・流動化は、10年以上前から着実に進めています。グループ保有の全銘柄を対象に、取締役会で毎期、継続保有の是非を検証し、IP軸戦略を推進するうえで重要なパートナー企業の株式は、保有を継続しています。
 株主還元においては、総還元性向50%以上を基本方針とします。また、DOE(純資産配当率)3.6%を下限とし、長期的な安定配当を目指します。また、業績や投資計画の進捗状況、手元流動性や株価動向などを総合的に勘案のうえ、自己株式取得も適宜、検討します。今中期計画スタートに併せ株主還元の充実に向け、従来の方針をこのように一部見直しました。
 これにより、2025年3月期の年間配当金は1株当たり71円(ベース配当22円、業績連動配当49円)、DOEは6.2%となりました。また、349億円の自己株式取得に伴い、総還元性向は62.7%となりました。引き続き、新たな基本方針に基づき、適切な還元を実施していきます。

バンダイナムコグループのCFOとして

 このように今中期計画は、売上高・利益のみならず、資本政策や成長投資、株主還元といった要素に、バランス良く目配りしています。策定に関与した1人として、この計画を着実に推進していくことが、CFOたる私の第一の務めです。
 特に成長投資の計画は、過去に例のない規模を予定しています。約110ものグループ会社の間で資金が行き届くようにするには、地域の拠点ごとに資金を集約する「キャッシュプーリング」が不可欠です。導入はある程度進んできたものの、まだカバーできていない地域・事業があり、環境整備を進めます。
 パーパスや中長期ビジョンが明らかにしているように、バンダイナムコは「ファン」あってこそのグループです。そして、この「ファン」の意味内容を、今中期計画は「全方位のステークホルダー」へ広げました。資本市場との対話を絶やさず、より多くの投資家の皆様からご支援をいただけるよう、透明性のある経営の実現に努めていきます。

私にとってのパーパス

パーパスはグループの「在り様」です。国内外キーパーソンの意見を聞き、グループとして将来どうあるべきかを集約し、一つの言葉に紡ぎました。一つ一つの事業は中小企業のようにスピーディに、尖った経営ができるのが当社グループの良さであり、そんな彼らを一つに繋げるのがパーパスです。「ファンとつながり、新たなエンタメを生み出す」。「笑顔をつくる」ことはもちろん、その先で「経済的な価値」「社会的な価値」の双方も生み出すことを含めてパーパスだと捉えています。

contents
pdf
Contents閉じる