“魅せる工場”から、
プラモデルのモノづくりを次のステージへ
Profile
佐野 翔紀Shoki Sano
株式会社BANDAI SPIRITS
ホビーディビジョン ホビークリエイション部
生産戦略チーム
アシスタントマネージャー
生産能力拡大と「愛される工場」への挑戦
静岡県にあるバンダイホビーセンターの新工場「BANDAI HOBBY CENTER PLAMO DESIGN INDUSTRIAL INSTITUTE(BHCPDII)」は、拡大するプラモデル需要に応える新たな生産拠点です。2026年8月にフル稼働を開始し、プラモデルの生産能力を高めるとともに、モノづくりの魅力を発信する「魅せる工場」として本格的に稼働しています。
BHCPDII建設の背景には、ガンプラ(「ガンダムシリーズ」のプラモデル)をはじめとするプラモデル需要の高まりがあります。特に、多色成形機はグループ独自の技術・設備であり、生産能力を拡大するには新たな投資が不可欠でした。一方で、製造業全体では人材不足も大きな課題となっています。そこでBHCPDIIでは、単に生産量を増やすだけでなく、多くの人々にモノづくりの魅力を知っていただくことで、製造業全体に対する理解向上を図る大きな目的も持っています。工場で働く従業員(プラモデザイナー)が、誇りと愛着を持って働ける環境を実現し、地域の方々、そしてプラモデルファンに「愛される工場」になりたい、という想いを持ってBHCPDIIは誕生しました。
オールインワン生産と進化する自動化
大きな特徴は、成形から袋詰め、セット梱包、出荷までを同一建屋内で行うオールインワンの生産体制です。従来は成形後に別拠点へ運び、商品状態へセット梱包後に再び物流倉庫へ運ぶ工程がありましたが、BHCPDIIでは工程間の移送や保管工程を減らすことで、生産リードタイムを短縮できます。原料調達から完成品の生産完了までをシステムで管理することで、工程の組み替えや調整も工場内で完結しやすくなり、よりスピーディーに商品をファンのもとへ届ける体制を整えています。さらにモノの移動が少なくなることから移動に伴う環境負荷についても大きく削減出来ています。
また、自動化・省人化も大きく進化しました。自動倉庫に加え、AGV(無人搬送機)や自動搬送システム、天井搬送台車などを活用し、人が重量物を運ぶ作業や単調な搬送作業をできるだけ減らしています。一方で、すべてを自動化するわけではありません。デザインや形状の最終判断、金型の仕上げ、成形機ごとの微妙なクセ、その日の温度や湿度による違いなど、数字だけでは表せない領域には、今なお人の経験と繊細な感覚が不可欠です。特に、形状の美しさを追求する金型づくりや成形には高度な職人技が求められます。細部へのこだわりや妥協しない品質こそが、ファンの期待に応えるホビーセンタークオリティを支えています。BHCPDIIは、ロボットやシステムに任せられる領域を広げることで、人が専門性の高い工程に集中できる工場を目指しています。

国内外の生産体制を最適化
今後の生産拡大では、静岡を中核に、関東や関西、そして海外など各拠点の強みを活かした役割分担を進めます。静岡は、基幹商材の生産、技術発信、人材育成を担うモノづくりの中心です。関東では広い敷地を活用した大型商品などの生産に適した体制を構築します。2026年11月より稼働を予定している新たな生産拠点となる関西は、大阪港・神戸港を活用した海外物流の効率化も視野に入れます。拠点ごとに生産品目を最適化することで、工程間の輸送や生産工程の滞留を減らし、全体の供給力を高めていく考えです。
海外生産については、国内生産とのバランスを重視します。一方で、(株)BANDAI SPIRITSのホビー商材には「メイドインジャパン」へのこだわりがあります。高度な金型技術や成形技術を守り、磨きながら、商品の特性や地域ごとの需要に応じて最適な生産地を選ぶことで、ホビーセンタークオリティと供給力アップの両立を図ります。
ファンと未来をつなぐ「魅せる工場」へ
私たちはモノづくりを担う立場として、ファンの期待に応えるために将来にわたり商品を供給し続ける努力をしていきます。生産キャパシティは、必要になった時にすぐ用意できるものではありません。だからこそ、何年も先を見据えて設備や拠点、人材育成の種まきを行い、未来のユーザーとの接点をつくっていくことが重要です。
BHCPDIIにはミュージアムも併設しています。ミュージアムの来場者はプラモデルの生産工程を見学するだけでなく、デザイン体験などを通じてモノづくりを身近に感じることができます。私たちが目指しているのは、ファンや子どもたちが「モノづくり」に興味を持っていただくこと、そして「ここで働いてみたい」と思っていただける工場です。今後は、安定供給をさらに強化しながら、ミュージアムの体験価値も高めていきます。プラモデルを楽しみにしてくださるファンに、より早く、より確かな品質で商品を届ける。そして、モノづくりの楽しさや奥深さを世界中に伝える工場であり続けたいと考えています。

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私にとってのパーパス