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30周年を迎える「たまごっち」シリーズの価値向上
世界中で広がる「たまごっち」
―30周年が切り拓く新たなIPの未来

profile

辻 太郎Taro Tsuji

株式会社バンダイ
常務取締役
チーフたまごっちオフィサー(CTO)

橋本 実希子Mikiko Hashimoto

株式会社バンダイ
メディア部
ライセンスアウトチーム
チーフ

七里 洋子Yoko Shichiri

株式会社バンダイ
メディア部
ライセンスアウトチーム
チーフ

世代を超えて愛される「たまごっち」

 2026年に30周年を迎える「たまごっち」は、1996年11月23日に誕生した、たまご型のデバイスと液晶画面、3つのボタンでデジタルペットを育てる玩具です。今では、玩具の枠を超えた幅広い商品・サービス展開に加え、外部パートナーへのライセンスアウトによって事業領域を拡大するIPへ成長しています。近年では、かつて遊んでいた世代が親となり、自身の子どもと一緒に「たまごっち」を楽しむなど、世代を超えて共通の思い出や体験を共有できることも、「たまごっち」ならではの強みとなっています。また、2009年に放送を開始した「たまごっち」のテレビアニメに親しんだ世代が20代となり、当時のカルチャーやノスタルジーを背景に、コレクションやファッションとして楽しむ動きも広がっています。

変わらない魅力と進化の両立

 長く愛されてきた理由は、「変わらない核」と「時代に合わせた進化」の両立にあります。たまご型のフォルム、3つの操作ボタン、育成する楽しさは、初代から変わらない「たまごっち」の本質です。つい触りたくなる、育てたくなる、生き物を愛でる感覚は、国や世代を超えて伝わる普遍的な魅力だと考えています。一方で、赤外線通信機能、カラー液晶、Wi‑Fi通信機能の搭載など、その時代のテクノロジーを取り入れながら進化を続けてきました。“かわいい”だけではなく、お世話をしなければ病気になったり、亡くなってしまったりすることがあるほか、少しヘンテコな「たまごっち」が登場する。こうした良い意味で予想を裏切る“トゲ”も、「たまごっち」らしさを形づくっています。
 一方で、「たまごっち」の歴史は成功だけではありません。過去には過剰供給による在庫問題も経験しました。その反省から、再展開時にはチーフたまごっちオフィサー(CTO)制度をつくり、営業、企画開発、ライセンス、海外担当が情報を共有し、市場の反応を商品企画や生産、プロモーションに活かす体制を整えてきました。現在も、グループ横断での情報共有会を通じて、デバイス、ゲームなどの関連商品、アミューズメント、イベント、店舗施策を連動させています。
 こうした体制によって、各事業が個別に動くのではなく、IP全体として一貫した方向性を保ちながら施策を展開できるようになりました。市場環境の変化にも柔軟に対応できることが、長期的なIP運営を支える基盤となっています。

30周年に向けた多面的な展開

 30周年に向けては、たまごっちブームの発信地とも言える東京の原宿や渋谷を舞台にしたイベントや展覧会、新商品発表、「バンダイナムコ Cross Store」での施策、アミューズメント施設「ナンジャタウン」でのアトラクション展開など、多面的な企画が現在進行中です。ゲーム領域でも「たまごっちのプチプチおみせっち」シリーズ( P65)が新たな入口となっており、育成玩具とは異なるファン層とも接点を生み出しています。商品展開においても、「Tamagotchi Paradise」などの子ども向けの主力商品のほか、ファッションアイテムとしても楽しめる「Original Tamagotchi」、異なるIPとのコラボレーションを通じて新たなファン接点を生む「Tamagotchi nano」など、それぞれの役割を明確にしながらIPの入口を広げています。
 このように、「たまごっち」は玩具だけで完結するIPではありません。生活の中で、ファッションとして身につける、デバイスで遊ぶ、イベントで体験するなど、一人ひとりの距離感に合わせて楽しめるIPとして、活躍する領域を広げています。

加速するグローバル展開とライセンスアウトによるIP価値の拡大

 グローバル展開も大きく加速しています。現在アジアでは韓国を中心に熱量が高まり、北米でも大型案件が増えています。北米では1990年代の「Original Tamagotchi」へのノスタルジーが入口となり、アジアでは日本カルチャーやK-POP、SNSを通じたトレンド感が広がりを後押ししています。地域によって人気キャラクターや好まれる表現は異なるため、現地パートナーと連携し、「たまごっち」らしさの核を守りながら柔軟にローカライズしています。今では重点地域である北米、中国内地に加え、日本以外のアジア、欧州、中南米にも可能性が広がっています。
 また、ライセンスアウトはIP価値を高める重要な手段です。収益だけでなく、「たまごっち」の世界観や「お世話をする」というコンセプトに合うか、ワールドワイドに広がる可能性があるかを重視しています。ファッション、雑貨、飲食、化粧品、ハイブランド、アーティストコラボレーションなど、外部パートナーの力を借りて届けています。外部パートナーとの協業は、単に商品カテゴリーを増やすだけでなく、「たまごっち」を知らなかった層との出会いを生み、IPの見え方そのものを広げる取り組みでもあります。

次の30年に向けて

 これからも大切にしたいのは、何よりも子どもたちとの接点です。親世代や20代・30代のファン、海外ファンの広がりは大きな力ですが、次の30年をつくるのは今の子どもたちです。ノスタルジーだけに頼るのではなく、新しい技術、新しい見せ方、新しい体験に挑戦し続けていきます。
 また、バンダイナムコグループの自社IPであることは、高い自由度で挑戦できる大きな強みです。玩具、ゲーム、テーマパーク、公式ショップ、ライセンスなど様々なカテゴリーをグループ内外で結びつけながら、「たまごっち」の可能性を自ら育てていくことができます。
 30周年はゴールではなく、次の30年へ向かう通過点です。これからもさらに「たまごっち」の可能性を広げ、お世話を欠かさずに、世界中のファンに愛されるIPに育て続けていきます。

message

辻

30年前にたまごっちを生み出し、育ててきた先人たちへの感謝を胸に、次の30年に向けて、新技術と時代を捉え、何ができるのかを考え続けなければなりません。これからもチャレンジを重ね、失敗しても俊敏に方向転換しながら、グループを代表する世界中の人から愛され続けるIPへ育てていきます。

橋本

たまごっちの30周年に向けた盛り上がりは、グループ内の連携と、国内外のパートナーとの協力によって生まれています。30周年以降も人気をさらに高めていくためには、今がまさに踏ん張りどころです。失敗を恐れず、様々な挑戦を重ねながら、新しいたまごっちの可能性を広げていきます。

七里

アジアや北米を中心に、すでに大きな手応えが生まれていますが、まだまだ可能性は広がっています。現地のファンの声や文化を大切にしながら、世界中でたまごっちをもっと知ってもらい、もっと好きになってもらえるような展開を継続・拡大させていきたいと思っています。

私にとってのパーパス

辻 太郎

IPを軸に、商品、ゲーム、アミューズメント、映像、ライセンスなど多様な接点を活かし、たまごっちのIP価値最大化につなげていくことです

橋本 実希子

未来の子どもたちとともに楽しさを育て、単に楽しいだけでなく、その人の人生の琴線に触れる思い出や体験を生み出すことまで意識していきたい

七里 洋子

エンターテインメントの力を信じています。世界が不安定な時代だからこそ、楽しさと幸せで世界を満たせるような仕事をしていきたい

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