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CFO’S MESSAGE CFOメッセージ

資本コストへの意識を徹底し、「長期」「海外」の
2つの軸から事業価値最大化を実現していきます

Takashi Tsuji
辻 隆志
株式会社バンダイナムコホールディングス
取締役
チーフファイナンシャルオフィサー(CFO)
経営企画本部長

「ガンダムシリーズ」の好調が業績を牽引

 今中期計画の初年度となる2026年3月期は、全セグメントが年初計画を達成し、連結業績は売上高・利益項目すべてにおいて過去最高を更新しました。映像音楽事業が製作する複数の映像作品公開や大阪・関西万博を通じたガンダム人気の高まりを背景に、「ガンダムシリーズ」の売上高が2,543億円(前期比65.7%増)に伸長し、グループ業績を牽引しました。その効果は様々な事業や商品・サービスに及んでおり、特にゲーム分野でガンダムタイトルのヒットが出たことに、確かな手応えを感じています。
 こうした成長局面のもと、国内外で各カテゴリーが好調なトイホビー事業では、生産体制の抜本的強化を進めています。すでにプラモデルやトレーディングカードゲームの自社工場を増強しましたが、今後も生産体制を強化し拡大する需要に対応していきます。またデジタル事業では、この領域特有のボラティリティを低減すべく、最適なタイトルポートフォリオ構築や開発体制の強化に努め、減損発生等のリスクの抑制につなげています。

「海外を伸ばす」意識の重要性

 今中期計画で掲げたKPIのうち、最終年度目標50%以上を掲げている海外売上高比率(仕向地別)の2026年3月期実績は約42%となりました。海外事業そのものは順調に成長していますが、それ以上に国内事業が好調です。国内市場で培ったIPやビジネスの強さは、将来的には、海外事業を伸ばす力になっていくはずですので、グローバル市場での事業拡大を目指し取り組んでいきます。
 海外展開を加速するうえで鍵を握るのは、IP軸戦略を理解した各地域の人材と、現地の状況を理解した日本の人材、そして事業を支えるコーポレート人材の育成・獲得です。時間のかかるテーマですが、「海外事業を伸ばす」という目標としっかり向き合い、地道な取り組みを継続していきます。

成長投資は計画通り順調に進捗

 今中期計画では、グループ横断的な成長投資(①ゲーム・映像製作への投資、②通常の設備投資、③あらゆるステークホルダーとつながる“360”投資)として、約6,000億円の投資枠を設けています。従来にない規模の投資計画ながら、初年度の進捗状況は順調です。このうち今中期計画で1,500億円の投資を想定している“360”投資の実績としては、ソニーグループ (株)や(株)Gaudiy Groupとの戦略的パートナーシップ構築、大阪・関西万博への出展、サプライチェーン強化に向けた出資、後述する自己株式取得などがあり、そのほかにも、水面下で複数の案件が進行しています。
 こうした投資のスピーディかつ円滑な実施という観点からも、また財務規律強化の観点からも、各エリア拠点に資金を集約する「キャッシュプーリング」は重要です。すでに導入を完了した日本・アメリカ・中国に続き、2027年3月期中には、欧州全域でこの枠組みを導入する計画です。併せてグループ資金管理システムの拡充を並行して進め、財務モニタリングのさらなる精度向上を目指します。

資本コストへの意識と株主還元

 政策保有株式に関しては、グループとして保有するすべての上場・非上場銘柄を対象に、取締役会で年1回、継続保有の是非を様々な角度から検証し、保有意義が薄れた銘柄については流動化を行っています。一方で、価値共創の観点から十分な保有意義が認められる銘柄もあり、これらについては、今後も保有を継続していく方針です。
 株主還元については、総還元性向50%以上を基本方針としています。DOE(純資産配当率)3.60%を下限とし長期安定配当に努めつつ、資本コストを意識して自己株式の取得を適宜、実施することとしています。2026年3月期の年間配当金は1株当たり73円(ベース配当46円、業績連動配当27円)、DOEは5.7%となりました。また、247億円の自己株式取得に伴い、総還元性向は51.0%となりました。なお、当社は2026年4月30日付で、保有する自己株式500万株を消却しています。
 今後も引き続き、株主還元に関する基本方針に基づき、適正な還元を実施していきます。

CFO就任1年を振り返って

 CFOが負うべき責任とは、資本コストを意識した経営の推進にあります。その具体的方法論を盛り込んだのが当社グループの今中期計画であり、これを着実に実行していくことが、私に課せられた最大の使命です。
 今中期計画では、「継続的に5%以上のエクイティスプレッド(=ROE–株主資本コスト)」という新たな計数目標を設けました。株主資本コストの低減に最も寄与するのは、資本市場からの信頼です。当社ではこの信頼をより強固なものとすべく、適時適切な情報開示やIR活動、業績予想の着実な達成、ガバナンス体制の強化などに努めています。
 今中期計画の策定にあたっては、グループ内で徹底的な議論を重ねました。そうしたプロセスを通じ、組織の様々なレベルに、中長期的なIP価値最大化を何より重視する考え方、海外市場に対する意識、そして長期利益の創造のための安定基盤強化という考え方が根付いてきたように感じます。私は経営陣の一員として、こうした前向きな変化をさらに加速するとともに、その進捗状況を投資家の皆様へ丁寧にお伝えし、資本市場からの理解と支持を獲得していきたいと考えています。

私にとってのパーパス

IPファンだけでなく、パートナー企業、社員、株主を含むすべてのステークホルダーとともに、夢・遊び・感動をつくり、広げ、楽しんでいくことであり、それを現在だけでなく将来にわたって続けていくこと。

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