サステナビリティサイト

気候変動への対応

バンダイナムコグループでは、気候変動への対応が持続可能な社会の実現と事業の継続的な発展に不可欠であるとの認識のもと、2021年4月に「バンダイナムコグループのサステナビリティ方針」を策定しました。またパリ協定における「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃未満に抑える」の趣旨に賛同。温室効果ガス(GHG)排出量削減目標の取り組みをさらに加速させるため、脱炭素化社会に向けた中長期の目標を設定しました。さらに同年からTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿った情報開示を開始、2023年9月にはTCFD提言への賛同を表明しました。TCFDコンソーシアムにも参加しており、気候変動に関する最新情報の収集などに努めています。

2024年度には、気候変動が当社グループに与える影響をより詳細に把握するため、シナリオ分析の高度化を進めました。具体的には、外部機関の将来予測に加え、各事業の活動データを活用して、将来の当社グループへの影響額を事業ごとに評価しました。この分析結果を踏まえ、当社グループにとって優先的に対応すべきリスクと機会を明確化し、今後の対応を一層強化していきます。

移行計画策定にあたって

バンダイナムコグループでは、脱炭素社会への移行に向けた方針をより具体化し、気候変動への対応をさらに推進するため、「気候移行計画」を策定しました。本計画は、中期計画(2025〜2028年)と連動し、脱炭素社会の実現と企業価値向上の両立を図ることを目的としています。

基本的な考え方

当社グループは、サプライチェーン全体(Scope1、2、3)を通じた温室効果ガス(GHG)排出量削減を気候変動対策の強化と位置付けています。
具体的には、以下の3つを主軸として取り組みを推進します。

  • 自社拠点における省エネルギー推進
    および再生可能エネルギー導入
  • サプライチェーンにおける
    温室効果ガス(GHG)排出量削減
  • プラスチック使用に関する
    環境配慮

特に多くの販売製品の主要原材料であるプラスチックについては、「プラスチック環境配慮方針」に基づき、使用量削減、代替素材の活用、リサイクルの推進を進めています。これらの取り組みは、資源循環のみならずGHG排出量削減にも寄与する重要施策と位置付けています。

今後の展開

気候変動をめぐる外部環境は、規制強化や技術革新の進展により急速に変化しており、当社グループは、これらの動向を継続的に把握し、移行計画を定期的に見直します。
また、ステークホルダーとの対話や各事業における取り組みの進展を踏まえ、シナリオ分析の高度化や各種施策の見直しを進めます。これらの進捗状況や課題について適切な情報開示を通じて説明責任を果たしながら、移行計画の実効性を高め、カーボンニュートラルへの着実な移行を推進します。

ガバナンス

サステナビリティ推進体制

計画の推進にあたっては、代表取締役社長が委員長を務めるグループサステナビリティ委員会で意思決定を行います。

サステナビリティ推進体制の詳細:TCFD提言への対応(ガバナンス)

グループサステナビリティ委員会においては、気候移行計画で定めたGHG排出量削減目標やプラスチック環境配慮の取り組みの進捗を定期的にモニタリングしています。目標に対する進捗に遅れが生じた場合や、事業の成長戦略と気候関連目標の間に乖離が発生した場合には、本委員会において速やかに原因を分析し、必要な是正措置を協議・決定するプロセスを運用しています。

役員報酬におけるサステナビリティ評価について、気候移行計画の推進に対する経営陣のコミットメントをより明確に示すため、GHG排出量削減などの非財務指標が業績連動報酬に占めるウェイトや具体的な評価ターゲットの明確化に向けた検討を現在進めており、今後継続的に制度の高度化を図っていきます。

サステナビリティ推進体制図
図:バンダイナムコのサステナビリティ推進体制の概略。取締役会の直下にグループサステナビリティ委員会があります。そのさらに下部組織としてグループサステナビリティ部会が存在し、各ユニットのサステナビリティプロジェクトとつながっています。

サステナビリティ委員会の役割

実施状況の評価と効果把握

当社グループでは、グループ各社が事業特性に合わせたマテリアリティ別の施策に取り組んでおり、その結果を連結会計年度ごとに、グループ全体および事業セグメントごとに分析し、翌連結会計年度以降の施策の改善につなげています。この分析内容については、グループサステナビリティ委員会にて協議のうえ、取締役会に報告し、必要に応じて取締役会が審議・監督を行っています。

また、気候移行計画を含む各施策の進捗状況については、マテリアリティの重点項目ごとに、目標値と当期の実績値とを対比し、統合レポートなどの媒体を通じて定期的に開示しています。

マテリアリティごとの目標と実績:私たちのマテリアリティ>目標と実績

社内部門の連携体制

気候移行計画を確実に遂行するとともに、事業戦略への統合を推し進めるため、当社グループはサステナビリティ推進部門を中心とした社内部門間の連携プロセスを強化しています。

また、IR部門とも連携し、投資家からのフィードバックを移行計画の継続的な見直しや高度化に直結させる全社的な体制の構築を進めていきます。

ステークホルダーとのエンゲージメント

当社グループは、持続可能な社会の実現に向けて、バリューチェーン全体でのエンゲージメントを推進しています。

顧客・消費者およびサプライヤーとのエンゲージメント

顧客・消費者への働きかけとして、消費者が直接参加できる資源循環のインフラを構築しています。また、バンダイナムコグループならではの事業特性を活かして、エンターテインメントを通じた啓発活動を実施しています。一方、サプライヤーへの働きかけとして、バンダイナムコグループ行動規範および取引先ガイドラインを制定し、周知を進めています。また、取引開始時に環境保全などへの取り組み状況を確認するなど、責任あるサプライチェーンの構築に努めています。

政府・業界団体とのエンゲージメント

当社グループは、エンターテインメント業界全体の地位向上に向けて、政府への働きかけなどに積極的に取り組み、当社の副社長が副理事長を務める一般社団法人 日本商品化権協会のほか、さまざまな業界団体や経済産業省の審議会などにも参画し、関係省庁との積極的な協議を行っています。また、パリ協定の目標に沿ったカーボンニュートラルの実現に向けて、各種イニシアティブへの参画やステークホルダーとの協働に取り組んでいます。エンゲージメントを通じて常に気候変動対策の最新情報を収集するほか、参画中のイニシアティブの場をより有効に活用していくための施策を検討していきます。

目的 主な参画団体/イニシアティブ
エンターテインメント業界全体の地位向上  
パリ協定の目標に沿ったカーボンニュートラルの実現
ロゴ:TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)

2021年~賛同表明

気候変動が企業財務に与える影響の開示を促す国際的枠組み。

Task Force on Climate-related Financial Disclosures (TCFD)

ロゴ:GXリーグ

GXリーグ

2024年~参画

脱炭素社会の実現に向け、官民でGX(グリーントランスフォーメーション)を推進する枠組み。

GXリーグ

ロゴ:J4CE(循環経済パートナーシップ)

J4CE(循環経済パートナーシップ)

2023年~参画

循環経済への取り組みを促進する官民一体の枠組み。

J4CE

戦略

事業戦略との連動

当社グループは、中長期ビジョン「Connect with Fans」の実現に向け、中核となる「IP軸戦略」を推進するとともに、気候変動をはじめとする環境課題への対応に、事業戦略とも連動のうえで取り組んでいます。特に、IPや商品・サービスの価値向上と持続可能な社会の実現を両立する観点から、グループとして重要課題(マテリアリティ)を特定し、そのなかで「地球環境との共生」および「資源・原材料の持続可能な利用」を重要項目として位置付けています。こうした方針のもと、具体的な取り組みの一環として、プラスチックに関する環境配慮を強化するための方針を策定し、代替素材の活用や再生プラスチックの利用拡大、リサイクルの推進などに取り組んでいます。

シナリオ分析の前提とリスク・機会の特定

気候変動を取り巻く外部環境は絶えず変化しているため、当社グループは事業や地域ごとの最新の動向を踏まえ、シナリオ分析を定期的に見直し、高度化を図っています。今後も引き続き業界の動向や世界の潮流を注視していきます。

シナリオ分析の詳細:TCFD提言への対応(戦略)

シナリオ分析を踏まえた実行戦略

特定されたリスクと機会に対応するため、当社グループは各事業において具体的な施策を進めています。トイホビー事業では、リサイクル材の使用に加え、卵殻や茶殻、竹素材などの代替素材の導入やカプセルレスのガシャポンなど、製品設計の工夫によりプラスチック使用量を削減しています。アミューズメント事業では、環境配慮基準を満たした「エコアミューズメントマシン」の開発と導入を進めています。また、異常気象によるリスクへの対応として、天候に左右されないバーチャルイベントなど、多様なサービス開発を進めています。

これらの低炭素・環境配慮型製品群やサービスは、移行計画を推進するうえで重要なポートフォリオとなります。将来、当社の売上高や利益にどのように貢献し、事業規模をどの程度拡大させるかという定量的な指標や目標(KPI)の策定に向けて、社内体制の整備と検討を進めていきます。

資金調達方針および資本配分

当社グループは中期計画期間中において、成長投資に約6,000億円、中長期の将来を見据えた戦略投資(“360”投資)に約1,500億円を配分するキャピタル・アロケーションを計画しています。この枠組みのなかで、事業成長に向けた設備投資などを実行していきます。

脱炭素社会の実現および資源循環の推進に向けた移行計画の実行に必要な投資資金は、原則として当社グループの自己資金を優先的に充当する方針です。各子会社が自律的に予算を策定・管理するなかで、気候変動対策やプラスチック環境配慮に関する投資についても、事業活動の一環として計上・執行しています。バンダイナムコホールディングスはグループ全体の脱炭素方針を統括しており、カーボンクレジット購入のようなグループ全体の脱炭素方針に関わる財務管理についても一元的に管理・運用しています。今後は、サステナビリティへの取り組みに特化した投資額の可視化を進めるとともに、気候変動関連の取り組みを管理するうえで、戦略的な資源配分や投資判断の指標となるインターナル・カーボンプライシングの有効性についても検討していきます。

気候変動・環境配慮に対する資本配分の考え方
図:気候変動・環境配慮に対する資本配分の考え方

脱炭素削減ロードマップの策定

当社グループは、ESG経営の進捗および気候変動に伴う政策リスクの影響を適切に評価・管理するため、GHG排出量を重要指標として設定しています。具体的には、自社拠点におけるエネルギー由来のGHG排出量について、2030年までに2019年度比50%削減、2035年までに同65%削減することを中間目標として掲げています。さらに、2050年までに自社拠点(社屋・自社工場・直営アミューズメント施設など)におけるエネルギー由来のGHG排出量の実質ゼロを目指します。

こうした目標の実現に向けては、自社の排出削減の道筋が科学的根拠および社会全体の移行経路と整合していることを示す「脱炭素ロードマップ」の策定が重要であると認識しています。当社グループは、国際的な1.5℃目標や国のGHG排出削減目標といったマクロ指標を参照しつつ、事業特性を踏まえた独自のロードマップの策定を進めていきます。

まずは、自社拠点における排出(Scope1、2)の削減経路を具体化し、将来的にはサプライチェーン全体(Scope3)を含む削減の道筋を構築します。今後は移行計画の更新を通じて、開示内容の充実を段階的に図っていく方針です。

脱炭素社会に向けたロードマップ

リスク管理

気候変動リスクの評価と管理プロセス

当社グループでは、サステナビリティに関するリスクと機会についてグループサステナビリティ委員会で協議、当社グループが取り組むべきマテリアリティを特定し、グループ全体のサステナブル活動を推進しています。推進にあたっては、グループの危機管理体制を統括するグループリスクマネジメント委員会と連携しています。

危機管理体制の詳細:リスクマネジメント

地域・業界における排出状況の把握および第三者保証の拡充

当社グループでは現在、サプライチェーンにおけるGHG排出量(Scope3排出量)について、主要な事業会社を中心に算定・開示を進めておりますが、グループ全体にわたる網羅的なデータの収集や精緻な算定、ならびにデータの信頼性を担保する第三者保証の取得には至っていないことを課題として認識しています。

現在、日本におけるサステナビリティ開示基準の開発を担うSSBJ(サステナビリティ基準委員会)の動向を注視するとともに、将来的な同基準の適用に向けた社内体制の整備を進めています。気候関連データの透明性および信頼性の向上を図るため、Scope3排出量の算定範囲の拡大と精度向上に努めています。現在Scope1、Scope2およびScope3一部カテゴリにおいて取得している第三者保証に加え、今後は保証範囲の拡大に向けた対応を進め、GHG排出量データの信頼性を高めることで、リスク管理基盤の強化を図ります。

事業を展開するエンターテインメント・玩具業界全体は、気候変動対応への社会的要請や業界全体の共通指針策定はいまだ過渡期にありますが、外部環境や先行業界の動向を注視しながら、自社の事業実態に即した実効性ある計画へと継続的にアップデートしていきます。

指標と目標

温室効果ガス(GHG)排出量削減目標およびScope3の目標設定

当社グループは、自社のESG経営の進捗および気候変動に対する政策リスクなどの影響を評価・管理するために、GHG排出量を指標として設定し、自社拠点におけるエネルギー由来のGHG排出量を2030年までに2019年度比50%削減、2035年までに2019年度比65%削減することを中間目標として掲げています。さらに、2050年までには、自社拠点(社屋、自社工場、直営アミューズメント施設など)におけるエネルギー由来のGHG排出量(Scope1、2)を実質ゼロにすることを目標としています。

脱炭素化に向けた中長期目標
図:バンダイナムコグループのGHG排出量に関する目標、取り組みのまとめ。
バンダイナムコグループ 温室効果ガス(GHG)排出量の推移
グラフ:バンダイナムコグループのGHG排出量は、2019年度時点で66,272トンCO2でした。2024年度時点では、52,564トン CO2と2019年度比の20.7%削減を実現しました。

注)Scope1 とScope2の合計値(ネット排出量)

また、当社グループは、上記の目標に加え、サプライチェーン全体(Scope3)を通じた脱炭素化を経営の重要課題と位置付けています。現在、継続的に算定・開示を行っているScope3排出量について、今後、主要サプライヤーをはじめとするビジネスパートナーとのエンゲージメントを一層推進し、具体的なタイムラインを伴う中長期の削減目標(中間目標を含む)の策定・開示に向けた検討を進めていきます。これらの取り組みは、SSBJ基準に準拠する形で進めています。

資源循環および環境配慮型製品に関する指標

プラスチック使用における環境配慮に関しては、「バンダイナムコグループプラスチック環境配慮方針」のもと、各事業で指標を管理しています。特に使用済プラスチックの回収については、ガンプラリサイクルプロジェクトでは2024年度に37トンのランナーを回収し、カプセルリサイクルでは47トンを回収するなどの実績を上げています。また、回収した空カプセルを原料としたリサイクルペレットを新規製造のカプセルに約40%の割合で配合しています。こうした資源循環への取り組みに関する定量的な進捗を継続的に開示しています。

マテリアリティごとの目標と実績:私たちのマテリアリティ>目標と実績

今後は、エコアミューズメントマシンの導入や代替素材を用いたサステナブル商品の展開といった低炭素・環境配慮型の製品・サービス拡充への取り組みについて、これらの取り組みが将来において当社の売上高や利益にどのように貢献し、事業ポートフォリオのなかではどの程度の事業規模となるかを示す定量的な指標の策定に向けた検討を進めていきます。

他律的要因(外的要因)への対応と目標

当社グループの気候変動対応におけるリスクおよび機会として、「プラスチック規制・資源リサイクル規制」や「炭素価格の導入」といった政策・規制動向、ならびに「顧客行動変化」といった市場動向を特定し、その重要度や影響を評価しています。

気候移行計画の目標達成には、自社の取り組み状況だけでなく、プラスチック資源循環に関するインフラ整備や新素材の技術革新、エネルギー供給のクリーン化、需要のシフトなど、外的要因が大きく影響します。当社グループは、これらの動向を継続的に把握していくとともに、移行の障壁となる課題に対しては、業界団体や参画するイニシアティブの動向も踏まえて、当社グループの課題解決に向けたアクション目標を策定していきます。