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PRESIDENT’S MESSAGE

世界を笑顔でつなぎ、次の成長ステージへ

浅古 有寿 株式会社バンダイナムコホールディングス 
代表取締役社長 CEO

売上高とすべての利益で過去最高を更新

 今中期計画初年度の2026年3月期は、IP軸戦略のもと、世界中のファンとつながるための様々な施策をグループ一丸となり進めたことにより、売上高1兆3,482億円、営業利益1,895億円をはじめ、すべての利益において過去最高業績を更新することができました。また、「ガンダムシリーズ」の売上高が、前期から約1,000億円伸長し、初めて2,500億円を超えました。
 セグメント別でも、全事業が期初の業績予想を上回りました。まずトイホビー事業は、国内外で全カテゴリーが好調を継続し、8期連続で過去最高業績を更新しました。デジタル事業では、開発プロセスの見直しを推進するとともに、ネットワークコンテンツの好調により、安定的な収益基盤に厚みをもたらすことができました。映像音楽事業では、「ガンダムシリーズ」の新作映像作品がファン層を拡大するとともにグループの商品・サービスの好調に波及しました。アミューズメント事業では、様々なIPの世界観とバンダイナムコならではの企画・運営力を掛け合わせた独自施設が好評で、4期連続で過去最高業績を更新しました。
 業績数値の伸びはもとより、今後を見据えた施策の実施という面でも、良い形で今中期計画をスタートできたと評価しています。

中期計画(2025年4月~2028年3月)2年目に向けて

 当社グループが手掛ける事業は非常に多様で、ビジネスのサイクルも様々です。今中期計画においては、リードタイムが短くスピーディな対応が可能なトイホビー事業を業績の牽引役と位置付け、デジタル事業については安定した収益基盤確立に向けた取り組みを推進していきます。また、映像音楽事業はIP軸戦略の中核となるIPの創出や音楽事業の強化を、アミューズメント事業についてはバンダイナムコならではの強みを活かした場の展開により、企業価値の向上を目指していきます。
 次に、取り組みの進捗状況と今後への課題についてご説明します。

IP軸:「ガンダムシリーズ」の持続的成長へ

 中期計画初年度は、「ガンダムシリーズ」の売上高が大きく伸長しました。IPビジネスにおいては、常に右肩上がりの成長を前提とすることは難しいですが、「ガンダムシリーズ」は、継続的に高品質な映像作品を創出し、ガンプラを筆頭に幅広いカテゴリーの商品・サービスが連携することで、ファンの裾野を広げています。また近年、海外においても映像や商品・サービスの展開が拡大しています。継続的に高いレンジ内で業績をあげることができる土壌が整いつつあると考えており、グローバル市場でのIP価値最大化に向けて、「ガンダムシリーズ」のポテンシャルをさらに高めていきたいと思います。

事業軸:2027年3月期の取り組み

トイホビー事業

 中期計画初年度、国内トイホビー事業における売上高が1,000億円を超えた「ガンダムシリーズ」は、2027年3月期も、同規模の売上高を見込んでいます。拡大する需要に対応すべく、新たな生産拠点の稼働やトレーディングカードゲームの生産拠点の集約を中心に、生産体制の強化を推進していきます。また、イベントや直営店の海外展開拡大、誕生30周年を迎えIPとしての人気が広がっている「たまごっち」や、テーブルトップゲームの新ブランド投入など、様々な形で商品カテゴリーとエリア、ファンとのタッチポイントを拡大していく方針です。なお、原油価格上昇の影響は、業績に一定程度織り込んでいますが、仕様の工夫や生産の効率化などにスピーディに対応することで、事業全体では過去最高業績の更新を目指したいと思います。

デジタル事業

 最適なタイトルポートフォリオの構築に向けた取り組みを、引き続き推進します。事業面では、ネットワークコンテンツの主力タイトルの安定的展開に努めつつ、家庭用ゲームにおいてはワールドワイド向けの大型タイトルや旬を捉えたIPタイトルなど多彩な新作タイトルの投入、ダウンロードコンテンツやイベントなど、長く遊んでいただける取り組みにより収益基盤の底上げを目指します。

映像音楽事業

 「ガンダムシリーズ」においては、実写版映画「GUNDAM(仮称)」を含む複数の映像作品の制作が進んでいます。また、「ガンダムシリーズ」のワールドワイドでのさらなる事業拡大と、多様なIPの創出・育成、バンダイナムコらしい音楽事業の強化を目指し、2026年4月に、ユニット内再編を実施しました。音楽事業の強化に向けては、同年5月、(株)ウドー音楽事務所との戦略的パートナーシップを構築しています。

アミューズメント事業

 IPの世界観を活かした体験型公式ショップ「THE★JOJO WORLD」や、グループ内のIP・商品を一堂に集めた「バンダイナムコ Cross Store」などのバンダイナムコならではの施設が幅広い層からの支持を集め好調に推移するとともに、トイホビー事業の好調を後押ししています。人材面では、2025年3月期の組織再編が効果を挙げており、引き続き、採用育成力強化に向けた取り組みを推進していきます。

エリア軸:海外売上高比率の向上

 中長期での成長という観点で海外売上高比率の向上は、非常に重要なテーマです。これまでの「IP×事業」に加え、「IP×事業×エリア」の3軸でポートフォリオを整備していくことで、収益基盤に厚みをもたらすことができると考えています。デジタル事業はもともと海外売上高比率が高いため、さらなる比率向上には、トイホビー事業における取り組みが不可欠となります。トイホビー事業では、グループ全体戦略同様、北米および中国市場を重点エリアと位置付けています。北米では、トレーディングカードゲームなど新たなカテゴリーも好調です。また中国においても、当社グループの商品は高い熱量で迎えられています。今中期計画では、この2つのエリアで成長を追求するとともに、より長期の視点から、新たな市場の発掘も検討していきます。
 中期計画2年目となる2027年3月期は、初年度で見えた課題を遅滞なくキャッチアップし、順調な分野はより盤石な体制を、そして環境変化には迅速に対応します。短期的には商品・サービス構成の変化により業績が上下することはありますが、中期計画ごとに平均営業利益を着実に厚くし、次の成長ステージに向けた基盤をより強固なものにしていきたいと思います。

「IP×事業×エリア」の3軸のポートフォリオで
さらなる飛躍を目指していきます。

新たな経営体制は上々の滑り出し

 新たなグループ経営体制となり、1年が経ちました。持株会社である当社の社内取締役(監査等委員を除く)は、私を含む常勤取締役4名、各ユニットのトップである4名の、計8名で構成されています。事業側の課題については事業側に権限移譲を行うことでスピーディに対処すべきであり、持株会社の役割は、彼らが事業に専念できるよう、人材や資金、情報といった経営資源を適正配分することにある、というのが私の信念です。ユニットトップ4名の取締役が、それぞれ足元の課題に取り組みつつ、必要に応じて全体最適の視点から、共通の課題について議論し合うのが、バンダイナムコならではのグループガバナンスです。
 一方、①事業領域の狭間にある領域、②従来の取り組みでは不十分だった領域、③より長期的な課題、これらについて、全体最適の視点から種まきや挑戦を行うのが、「CW360」を統括する桃井副社長の役目です。また、辻CFOと藤田CIO/CISO/CSOは、私がかつて対応していたテーマに、より高い水準で取り組んでくれています。全体的に見て、新たな経営体制は非常に順調にスタートすることができたと評価しています。

風通しの良いボードカルチャー

 当社の取締役会は、社外取締役5名を含む計14名の取締役で構成されています。社外取締役5名中3名は、先般の第21回定時株主総会で新たに取締役に選任されました。
 社外取締役(監査等委員)2名のうち、小宮取締役は、公認会計士・税理士であり、会計・税務の専門家です。新任の村岡取締役は、弁護士であり、企業法務の専門家です。また、社外取締役(監査等委員を除く)3名のうち、新任の生野取締役は、外資系証券会社や海外でのキャリアが豊富です。同じく新任の野間取締役は、学識経験者であり、財務・会計や人的資本経営の専門家です。また筆頭独立社外取締役である島田取締役は、上場会社のトップを長年にわたり務めた経験から、企業経営全般の知見が豊富です。
 当社取締役会の特徴は「風通しの良いボードカルチャー」にあります。社外取締役から寄せられる忌憚のないご意見はもとより、社内取締役同士が互いに疑問をぶつけあう場面も多く見られます。社内・社外ともにバランスのとれた顔ぶれであり、健全な牽制機能が発揮されていると考えています。

従業員が挑戦できる土壌づくり

 2026年3月期は、国内における退職金制度の改定や福利厚生に関する共通のプラットフォームづくりなどのグループ各社における制度の標準化にも注力しました。また、人材育成に関しても、グループ横断の枠組みとして、従来手薄だった中堅社員向けの教育プログラムを、この春から新たにスタートさせました。とはいえ、取り組むべきテーマはまだ多くあります。例えば、コーポレート人材やグローバル人材の育成強化は、引き続き大きなテーマです。また、教育プログラムについても、グループとして標準化すべき核の部分と、個社の特性に合わせるべき応用部分を整理する必要があります。当社グループの1番の財産であり成長のためのエンジンは従業員です。今後も従業員が安心して働き挑戦できる土壌を強固にしていきたいと思います。

あらゆるステークホルダーとのつながりを深める

 パーパス「Fun for All into the Future」のもと、グループが目指す姿を示す中長期ビジョン「Connect with Fans」の「Fans」には、IPファン、ビジネスパートナー、株主、従業員、社会と様々な意味を込めています。この1年間のグループの歩みに照らし合わせると、IPファンやビジネスパートナーとのつながりの拡大効果は、2026年3月期の業績にも反映されています。引き続き、IPや商品・サービスに愛情を持って愚直に向き合い、世界中のファンとのつながりを広げ、深め、世界を笑顔でつないでいきたいと思います。従業員とつながる人的資本経営の推進についても、一定の進捗がありました。また、社会とのつながりの例としては、大阪・関西万博出展や事業を通じたサステナブル活動、渋谷の多目的ライブホール開業などが挙げられるでしょう。そして、株主とのつながりに関しては、株主の皆様とより長くつながることを目的に、株主還元の基本方針の変更を行いました。今後も資本コストを意識した経営を徹底し、1株当たり当期純利益(EPS)を着実に向上させること。資本市場との適切なコミュニケーションを通じ、当社グループへの理解と成長期待を高めていくこと。こうした施策により企業価値を持続的に向上することで、投資家の皆様とWin–Winの関係を築いていきたいと思います。「IP×事業×エリア」の3軸のポートフォリオでさらなる飛躍を目指すバンダイナムコグループに、より一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2026年9月
浅古 有寿

私にとってのパーパス

「世界を笑顔でつなぐ」ことだと捉えています。エンターテインメントは生活必需品ではありません。しかし、人の心を動かし、人と人をつなぎ、文化や国境を越えて笑顔を生み出す力があります。

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